楢戸ひかる「シニアライフの羅針盤」
医療・健康・介護のコラム
18歳成年で心配な「お金のトラブル」 親の老後資金を痛める前にできること
2022年4月から、成年年齢が「18歳」となりました。18歳、19歳の人はもう大人です。その変更に伴い、金融庁が「18歳、19歳のあなたに伝えたい!!」と呼びかけているのをご存じですか?
子どものトラブル 肩代わりで親の老後資金が…
金融庁は、「 絶対に、絶対に、違法な高金利業者(ヤミ金融)は利用しないでください! 」と、強い論調で訴えています。裏を返せば、それだけ、利用する子がいるということなのでしょう。わが家にも17歳の双子の息子がいるので、人ごととは思えません。
10代の子どもがお金のトラブルを抱えてしまったら、親が肩代わりするケースも多く、老後資金を痛めてしまう可能性もあります。どうしたらよいのかを、私も参加しているグループ「 ホット・レモネード 」のメンバーと話し合ってみました。
ホット・レモネードとは、社会課題×金融教育ネットワークの通称です。話し合いに参加してくれたのは、ファイナンシャルプランナーの新美昌也さん、ホット・レモネードの運営理事の亀井茉莉さんと牛堂望美さんです。
子どもの金融リテラシーを上げるには?
――ファイナンシャルプランナーとして、成年年齢の引き下げをどうお考えですか?
新美: 成年年齢の引き下げで18歳、19歳の若者は、未成年者取消権(親などの同意なく行った契約を取り消すことができる権利)を使えなくなりました。このため、20歳よりもいっそう社会経験の乏しい18歳、19歳の若者たちが、悪質な業者の餌食になることが危惧されています。だからこそ保護者は、高校卒業までに、子どもの金融リテラシーを上げるよう心がけてほしいと願います。
――子どもの金融リテラシーを上げるために、何が必要でしょう?
新美: 手始めに、金融庁が作っているサイト「 中学生・高校生のみなさんへ 」を見てはいかがでしょうか? 「基礎から学べる金融ガイド」がダウンロードでき、金融リテラシーについてまとめた動画などもあります。悪徳商法や詐欺の手口や被害・トラブルについて知っておくことだけでも、防衛につながります。
牛堂: 私は、児童養護施設などの社会的養護分野で金融教育の活動をしていますが、施設の子どもたちにお金のトラブルについて伝える時に心がけているのは、「トラブルは誰にでも起こり得る」という前提に立つことです。
そんな気持ちで構えていると、子どもが実際にトラブルを抱えてしまった時、相談がしやすいと思うのです。最も困ることは、子どもがトラブルを抱えたまま、誰にも相談できず、問題が大きくなってしまうことだと考えています。
亀井: トラブルという面から考えると、私は「お金の小さな失敗をさせる機会」が大切だと考えています。私自身、母親として娘を2人育てていますが、「欲しいものがあるのに、お小遣いが足りなくなっちゃった!」「あの時、これを買わなければよかった」など、失敗も含めたお金に関する話が自然にできる雰囲気を、家庭内に作ることは大事だと思っています。
1 / 2
【関連記事】
※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。
※個人情報は書き込まないでください。