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楢戸ひかる「シニアライフの羅針盤」

 「人生100年時代」と言われるようになりました。この長い後半生、「今まで通り」のやり方では乗り切れないかもしれません。やがて来る「シニアライフ」を実りあるものにするためには、今、どんな備えをしておけばいいのか?  お金のこと、そしてお金以外のこと……マネーライターの楢戸ひかるさんと一緒に考えていきましょう。

介護・シニア

18歳成年で心配な「お金のトラブル」 親の老後資金を痛める前にできること

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「親も一緒に考える」という姿勢が大事

――親世代は、「お金の話をするのははばかられる」といった意識もあると思います。

亀井: 「お金の話をすることは、タブーではない」ということは、親から進んでお金の話をすることで、家庭内で伝えてほしいです。

牛堂: 仮に、子どもから金銭トラブルの相談を受けた時、保護者自身も動揺してしまうかもしれません。そんな時のための「備え」として知っておいていただきたいのは、「親が、自分だけでトラブルを解決できなくてもよい」ということです。保護者は、「このトラブルは、どこに相談すればいいのかな?」ということを子どもと一緒に考えてほしいと思います。「親が、相談先を子どもと一緒に調べ、考える」という姿勢があるだけで、子どもは心強いと思います。

――「親も一緒に考える」。キーワードだと思います。相談先は、どんなところがあるのでしょうか?

新美: 冒頭で紹介した「基礎から学べる金融ガイド」の31ページ以降は「トラブルに注意」という項目で、トラブルの実例を紹介した後、相談窓口が記載されています。保護者も、「自分だけでは解決が難しい」と感じたら、一人で抱え込まずに、早めに相談機関とつながってほしいと思います。お金を請求された場合は、支払うと取り戻すことが困難なこともありますので、支払う前に相談してください。

高校の家庭科授業にも「資産形成」

――最後に、成年年齢引き下げによる「ポジティブな側面」はありますか?

牛堂: 4月1日に某証券会社が、「多くの18歳の方たちから、口座開設の申し込みがあった」という情報を発信しているのを見ました。学習指導要領の改訂により、2022年4月から、高校の家庭科授業に「資産形成」の内容が取り入れられています。資産形成は小さい金額からでもできるので、早くから親子で金融商品に親しみ、話をする機会があるのは良いことだと思います。

亀井: 「お金がどこから来てどこに行くのか?」を想像できる力を育む金融教育は、これからたくさんの可能性がある分野だと思います。成年年齢引き下げをきっかけに資産形成や金融に関する教育が広がってほしいですし、お金に振り回されるのではなく、金融の仕組みをうまく活用して未来を切り開ける次世代が増えることを期待したいです。

 私自身、息子たちと成年年齢引き下げについての話をしたことがありませんでした。まずは、このことについて、彼らが、何を感じ、考えているのか?(考えていないのか?)……一度、家庭の中で話題に出してみようと思います。(楢戸ひかる マネーライター)

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楢戸 ひかる(ならと・ひかる)

マネーライター
 1969年生まれ。大手商社に勤務後、90年代よりマネー記事を執筆。「誰もが安心してお金のことを学ぶ場」である「お金のリビング」を主宰。その入り口として、「ザックリ家計簿」ワークショップをオンラインにて開講中。詳しくはホームページ「主婦er」で。
 お金の記事だけでなく、「家族」や「暮らし」についてもコンテンツ更新中。

過去コラムはこちら

40代から備えよう「老後のお金」

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