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わきや手のひら、顔に大汗…夏の悩みは「多汗症」かも 治療で改善
夏に向かうこの季節、汗の悩みを抱える人も多いだろう。暑い日に訪れた営業先や満員電車の中で顔やわきの下に大汗をかいて恥ずかしい思いをしたり、汗が気になって人と会うことに消極的になったり……。そうした人のなかには、「多汗症」と診断され、治療で改善するケースもある。多汗症とは何か、どんな治療が行われているのか、池袋西口ふくろう皮膚科クリニックの藤本智子院長に聞いた。(聞き手 梅崎正直)
症状は左右対称、若い頃から
――気温が上がれば誰もが汗をかくと思いますが、その中でも、どのような症状が「多汗症」と診断されるのでしょうか。
自覚症状が重要になります。同じ量の汗をかいていても、その人が困っていなければ治療の対象とはなりません。
過剰な発汗が左右対称に起きること、若い頃(25歳以下)に発症して続いていること、睡眠中には多汗にならないことなどが多汗症の特徴です。これらにあてはまらない場合は、何か別の原因があることも考えられます。
――体のどの部位に症状が出やすいのでしょうか。
頭や顔、わきの下、手のひらや足の裏、症状が全身におよぶ方もいらっしゃいます。 腋窩 (わきの下)、 手掌 、頭部顔面、 足底 の順に多いという疫学結果があり、実際にも同様の印象です。
汗の出方に男女の違いはないのですが、受診されるのは女性が多いですね。服に汗がにじんで人の目が気になったりして、困っているケースが多いのだと思います。においが気になるという方もいますが、汗によるにおいとわきがは違います。
握手ができない、携帯電話が壊れた…
――患者さんは、日常生活でどんな悩みを抱えているのでしょう。
わきの下に汗を多くかいていても、一人でいる分にはそこまで困らない。やはり、人との距離が近くなるような場面で問題になるようです。通勤電車の中、仕事での接客中など。介護の仕事で人との距離が近いため、気になるという方もいらっしゃいました。
業務に差し支えるという訴えも多いです。営業で回るときに大量の汗をかくので、仕事から外されたという話も聞きますし、「握手ができない」という人もいます。
特に手のひらの多汗症では生活上困ることが多く、学生ではテストの時に汗が止まらなかったり、美容師の方などが作業中の汗に困っていたり。携帯電話やパソコンがびしょびしょになって壊れたという人もいますし、スマホの指紋認証が反応しないこともあります。
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