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リングドクター・富家孝の「死を想え」

医療・健康・介護のコラム

75歳で突発性難聴発症、年を取ると病気が増えて死への不安も…延命治療だけは嫌

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どう死ぬのかわからないのが不安

 今回の入院も、大事に至らずにすみましたが、次はどうなるかわかりません。老化には何人たりとも逆らえないからです。ただし、老化には個人差があり、それによる死がどのように訪れるかはわかりません。

 私の父は元気な老人でしたが、70歳で、ある日突然、突発性の大動脈解離を起こし、その日のうちに亡くなりました。これも、老化の突然の表れだったと思います。私はかつて老人施設や訪問での診療に駆り出されることがあり、それを通して、これまで、終末期の延命治療がいかに人間の尊厳を損なうものかを見てきました。

 父のように1回の発作で死ねればいいのですが、命は助かって寝たきりになるのはまっぴらごめんです。こうした思いから私は、延命治療だけはしてほしくないと願い、家族にもそう話してきました。しかし、どのような最期になるか、自分で決められることではありません。

 私は、死を恐れているわけではありません。そのときが来たら、誰にも迷惑をかけず、自然に逝く覚悟はできています。ただ、死がどのように訪れるかわからないのが不安なのです。後期高齢者になって初めての今回の入院では、しばしばそのことを思いました。(富家孝 医師)

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富家 孝(ふけ・たかし)
医師、ジャーナリスト。医師の紹介などを手がける「ラ・クイリマ」代表取締役。1947年、大阪府生まれ。東京慈恵会医大卒。前新日本プロレス・リングドクター、医療コンサルタントを務める。著書は「『死に方』格差社会」など65冊以上。「医者に嫌われる医者」を自認し、患者目線で医療に関する問題をわかりやすく指摘し続けている。

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