いつか赤ちゃんに会いたいあなたへ
医療・健康・介護のコラム
5年続いた不妊治療 受精卵も尽き、心も折れた後に起きた奇跡
パンダの妊娠・出産のニュースが恨めしい 子を持つことへの執着に苦しむ

なかなか治療が進まないこともあり、Tさんは特別養子縁組も考えました。しかし、夫から「自分の子どもでないと愛する自信がない」と正直に言われ、選択肢から外れたそうです。自分たちの子どもを得るためには、不妊治療を頑張るしかない。Tさんはますます治療一筋で頑張りました。
結婚した時、子どものいない人生も視野に入れていたというTさん。「自分が子どもを持つことへの執着でこんなに悩み苦しむとは思ってもみなかった」と言います。「パンダなどの動物の妊娠・出産のニュースにまでやっかみ、恨めしく思っていました」
不妊治療のやめ時はいつ? 子どもを持たない人生を考える
Tさんは休憩をはさみながら、体外受精を続けました。卵子を育てるためのホルモン注射、ちょうどいい大きさになったら採卵手術、体外で受精、培養させて育ったところで、胚移植へと進みます。着床しなかったり、流産したりを繰り返す中で、少しずつ子どものいない人生が頭に浮かぶようになってきた、と言います。
「夫は気が済むまでやればいいというスタンスでした。2度の流産を経験し、泣きながら処置を終える私を見て、夫は私より先に不妊治療のやめ時のことを考え、子どものいない人生を冷静に見据えていたようです。共通の趣味を見つけ、映画鑑賞や外食、お祭りやイベントなどに誘えば一緒に来てくれて、私の気を紛らわせてくれました」
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受精卵も尽きて、気持ちも折れて 治療をやめることを決心したら……
Tさんは5年にわたる不妊治療を経て、凍結していた受精卵が尽きたところで心も折れ、年齢的にも体力的にも疲れて、「もういいかな」と、治療をやめることを決心したそうです。この時、39歳でした。
新卒から勤めていた仕事も辞めて犬を飼いはじめました。「故郷をPRする仕事を起業すること」という新しい目標に向かい、歩みはじめた年の始め、なんと自然妊娠をしました!
「完全に気持ちを切り替えていたので、夫婦ともに信じられず、第一声は『ホントに!?』でした」。Tさんが40歳になる年にかわいい男の子を無事、出産したそうです。
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