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医療・健康・介護のコラム
5年続いた不妊治療 受精卵も尽き、心も折れた後に起きた奇跡
医療関係の仕事に携わるTさんは、34歳の時に夫となる男性と知り合いました。6歳年上の会社員。優しさにひかれ、出会って間もなく結婚を決めました。
結婚後はすぐに妊活を開始。軽い気持ちでクリニックの門をたたき、不妊治療を始めました。最初は排卵日に合わせて夫婦生活を持つ「タイミング法」からスタートしましたが、多くのカップルと同じようにつまずいてしまいました。
夫婦生活の日を医師が決める「タイミング法」 夫婦の精神的負担に
「指定日」を医師に決められるのは、男性からすると大きなストレス。「『しろ』と言われて、すぐできるものではない」というのが、多くの男性の意見です。しかたなく、妻から誘ったりお願いしたりしますが、うまくできないと、虚無感と惨めさと焦りで泣きたい気持ちになります。Tさん夫婦もタイミング法はお互いにとても精神的負担があったそうです。
その後、転院。通常なら人工授精に進みますが、すぐに体外受精に取り組みました。「一日も一秒も無駄にしたくなくて。期待でいっぱいでした」
約半年ほどかけて準備を行い、迎えた初の採卵。採卵には成功し、その後、受精はしたものの、受精卵が育たず、胚移植はできませんでした。Tさんのショックは大きく、ひどく落ち込んだそうです。
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長期間にわたる不妊治療 職場では「腫れ物に触る」扱いをされ……
Tさんは不妊治療を続けました。治療が長くなると費用がかさみ、経済的負担がどんどん増えていきます。フルタイム勤務の仕事と不妊治療の両立は大変でした。Tさんの職場には不妊治療経験者が何人か居たそうですが、Tさんのように長期間取り組んで妊娠・出産に結びつかない人は少なかったそう。そのため、いわゆる「腫れ物に触る」扱いだったと言います。時間休などシステム的なサポートもなく、「不妊治療と仕事の両立」の土壌はできていないと感じました。
「夫や家族は特に何も言わないで見守るスタンス。ありがたかったけれど、孤独でした」
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