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Dr.夏秋の毒虫クリニック

医療・健康・介護のコラム

悪いヤツらは天井裏からやってくる! 下腹部や太ももから血を吸う「エロダニ」の正体とは

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地球上に2万種類以上

 「ダニ」というと、どんなイメージがありますか? 多くの方にとっては、「不潔な環境で繁殖し、人や動物の血を吸う嫌なヤツ」といったところでしょうか。しかし、人類の生活環境には多くのダニ類が共存しており、決して悪者ばかりではありません。

 ダニ類はクモの仲間で、分類学的には、節足動物門クモガタ綱の中のダニ目に属しています。同じ節足動物の昆虫類とは別のグループですが、その種類数はたいへん多く、地球上でなんと2万種類以上が知られています。

 ダニ類は卵から幼虫、若虫、成虫へと脱皮を繰り返して成長しますが、幼虫の時は3対、そして若虫、成虫になると4対の脚(歩脚)を持つようになります。なお、昆虫類の成虫は脚が3対なので、この点でも区別されます。

 ダニの中には動物や植物に寄生するもののほかに、地面や土の中、住宅の内外など、様々な環境で独立して生息するものもいます。中には、チーズの熟成に役立つチーズダニや、園芸作物の葉につく有害なハダニに寄生するカブリダニのように、人類から見れば有益なダニや、落ち葉、動物の死骸などの分解者という、生態系の重要な役割を担っているダニもいます。

 これらのダニのうち、人類の健康に病害を引き起こすダニは「医ダニ類」と呼ばれます。この「医ダニ類」は、とても身近な生物でありながら、非常に誤解が多い存在でもあるのです。ぜひ正しい知識を持っていただきたいので、まずは連載の第1回目として、家の中でみられるダニについて解説します。

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夏秋 優(なつあき まさる)

 兵庫医科大学皮膚科学教授。1959年生まれ。カリフォルニア大学サンフランシスコ校皮膚科研究員、兵庫医科大学皮膚科学講師、助教授などを経て2021年より現職。日本衛生動物学会会長。主な専門分野は虫による皮膚疾患、皮膚疾患の漢方治療。主な著書に「Dr.夏秋の臨床図鑑 虫と皮膚炎」(学研メディカル秀潤社)、「止々呂美哀歌」(NRC出版)、「医ダニ学図鑑」(共著、北隆館)、「衛生動物の事典」(共編著、朝倉書店)」など。

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