文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

知りたい!

医療・健康・介護のニュース・解説

胆道がん治療 選択肢広がる…抗がん剤3剤の同時投与も有効 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

 治療の難しいがんとして知られている胆道がん。手術で切除ができない場合は、薬物療法が行われますが、最近はその選択肢が増えてきています。放射線療法の一つである粒子線治療も4月から一部で公的医療保険の対象になりました。(影本菜穂子)

国内で年間2万2000人

胆道がん治療 選択肢広がる…抗がん剤3剤の同時投与も有効

 胆道は、肝臓でつくられた「胆汁」と呼ばれる消化液の通り道を指します。胆汁をためる「胆のう」、肝臓と十二指腸をつなぐ「胆管」、胆管と十二指腸のつなぎ目となる「十二指腸乳頭」という三つの部分に分けられます。胆管は、肝臓内にあるかどうかで、「肝内胆管」と「肝外胆管」に分かれます。

 胆道がんは、胆道にできるがんの総称です。胆のうがんなど、発生した部分によって名称が異なります。

 国内で年間約2万2000人(肝内胆管がんを除く)が診断されます。5年生存率は約25%で、 膵臓すいぞう がんに次ぐ低さです。

 黄だん、腹痛、体重減少などの症状が出ます。初期は無症状のことが多く、進行してから発見されやすい特徴があります。

手術と抗がん剤の組み合わせた治療も

 治療は、手術が優先されます。遠隔転移がある、全身の状態が悪いなどの場合は薬物療法が行われます。

 薬物療法では、3剤の抗がん剤のうち、2剤を組み合わせる治療が行われてきました。ここ数年は、がんをより強くたたく効果を期待できる3剤の同時投与も広がっています。

 2018年に発表された患者246人を対象にした研究では、3剤による治療の方が、2剤よりもがんが進行せず安定して過ごせる期間(中央値)が約2か月長いと報告されました。

 埼玉県の男性(72)は20年末に受けた検査で、肝内胆管がんが見つかりました。手術では取り切れないと判断され、国立がん研究センター中央病院(東京)で、3剤を同時投与する治療を受けました。その結果、一部のがんが消えたため、昨年7月に手術を行いました。「今は食欲が戻り、孫の世話など忙しく過ごしています」と話しています。同病院肝胆膵内科長の奥坂拓志さんは「男性のように、薬の効果がみられたため、当初予定しなかった手術を行う事例が少しずつ増えています」と話しています。

 手術と組み合わせた治療も広がっています。手術をしても再発が多いためです。手術後に抗がん剤を投与する「術後補助化学療法」については今年1月、生存期間が延びたとする研究結果が発表されました。今後、標準的な治療になる見通しです。

 また、抗がん剤でがんを小さくしてから手術する治療の研究も進んでいます。

 特定の遺伝子変異を狙い撃ちする「分子標的薬」は使える薬が増えています。

 昨年5月には、「ペミガチニブ」が保険適用になりました。薬物療法後に症状が悪化した人が対象です。ただし、遺伝子検査で変異が見つかって治療できる人は、一部に限られます。

 今年4月、手術ができない肝内胆管がんに対する粒子線治療が保険適用になりました。がんを集中して攻撃できます。神奈川県立がんセンター放射線治療科部長の加藤弘之さんは「体への負担が小さく、根治も目指せる治療です」と話しています。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

知りたい!の一覧を見る

最新記事