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BRCA1/2で胃・食道・胆道がんリスク増 日本人10万人超での横断的解析

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 理化学研究所生命医科学研究センター基盤技術開発研究チームチームリーダーの桃沢幸秀氏らの国際共同研究グループは、乳がんなど4つのがん種の発症リスク上昇に関与する原因遺伝子BRCA1/2が、従来明らかにされていなかった胃がん、食道がん、胆道がんの発症リスク上昇にも寄与することを発表。詳細は、JAMA Oncol( 2022年4月14日オンライン版 )に掲載された。

14のがん種でBRCA1/2のゲノム解析を実施

BRCA1/2で胃・食道・胆道がんリスク増 日本人10万人超での横断的解析

※画像はイメージです

 BRCA1/2はがんの原因遺伝子で、病的バリアントが存在すると、発症リスクは乳がんで約10倍、卵巣がんで数十倍に上昇するとされる。さらに、BRCA1/2は前立腺がん、膵がんについても原因遺伝子として発症リスクの上昇に関与しており、これら4種のがんにはPARP阻害薬による治療が有効な治療手段として確立されている(関連記事「 初のHBOC診療ガイドラインが刊行、要点を解説 」)。

 これまでの研究では、BRCA1/2の病的バリアントの存在が他のがん種のリスク上昇にも寄与する可能性が示唆されていることから、桃沢氏らは今回、バイオバンク・ジャパンが保有する日本人集団における14のがん種(胆道がん、乳がん、子宮頸がん、大腸がん、子宮体がん、食道がん、胃がん、肝がん、肺がん、リンパ腫、卵巣がん、膵がん、前立腺がん、腎がん)について、BRCA1/2のゲノム解析を計画。これらのがんを有する患者群(6万5,108人)およびこれらのがんおよび家族歴がない対照群(3万8,153人)の計10万3,261人を調査した。

BRCA1で胃がんと胆道がん、BRCA2では胃がんと食道がんの発症リスクが新たに同定

 まず、ターゲットシークエンス法を用い、BRCA1/2の蛋白質への翻訳に影響が大きいとされる領域および周辺の計1万6,111塩基の配列を調査。その結果、10万914人(97.7%)で十分なシークエンスデータが取得でき、1,810個の遺伝的バリアントを同定した。うち、10人以上が共有する同一祖先に由来すると推定される「創始者バリアント」は11個であった。

 これらの病的バリアントの保持率をがん種別に見ると(乳がんは男女で保持率が大きく異なるため男女で分類)、BRCA1/2の病的バリアント保持率が最も高いのは卵巣がんであった( )。BRCA1は卵巣がん、胆道がん、女性乳がん、男性乳がんで、BRCA2は男性乳がん、卵巣がん、胆道がん、女性乳がん、膵がん、前立腺がんで1%以上の患者が保持していた。

図.BRCA1/2におけるがん種別の病的バリアント保持率

BRCA1/2で胃・食道・胆道がんリスク増 日本人10万人超での横断的解析

 病的バリアントの保持率を対照群と比較し、がん種別にオッズ比(OR)を算出したところ、 のような結果が得られた。すなわち、BRCA1では、女性乳がん(OR 16.1)、卵巣がん(同75.6)、膵がん(同12.6)に加え、胃がん(同5.2)、胆道がん(同17.4)との関連が示された。また、今回の有意水準〔P=1x10-4(0.0001)〕を満たさなかったものの、肺がん(OR 3.7倍)、リンパ腫(同7.7)もリスクが高かった(いずれもP<0.05)。 同様に、BRCA2 でP=0.0001を下回ったがん種は、女性乳がん(OR 10.9)、男性乳がん(同67.9)、卵巣がん(同11.3)、膵がん(同10.7)、前立腺がん(同4.0)に加えて、胃がん(同4.7)、食道がん(同5.6)が該当した。P<0.05の基準では、子宮頸がん(OR 3.2)、子宮体がん(同4.0)、肝がん(同2.4)、腎がん(同4.5)が該当した。

表.がん種別の発症リスク

BRCA1/2で胃・食道・胆道がんリスク増 日本人10万人超での横断的解析

(図、表とも理化学研究所プレスリリース)

BRCA1/2に病的バリアントがあると、85歳までに20%が胃がん発症

 実臨床では、いつどの程度がん発症リスクがあるかが重要となる。そこで国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)を基にがん発症リスクも検証した。その結果、女性乳がんでは病的バリアントを有していない場合、85歳までの乳がん累積リスクは10%未満だった一方、BRCA1に病的バリアントを有すると72.5%、BRCA2では58.3%だった。前立腺がんではBRCA2に病的バリアントを有すると、85歳までの累積リスクは24.5%だった。

 また、新たに同定された胃がん、食道がん、胆道がんのうち、東アジアで罹患率の高い胃がんの累積リスクが高く、いずれの遺伝子とも85歳までに20%程度発症することが算出された。

 今回の結果を踏まえ、桃沢氏らは「がん発症との関連が強い遺伝的要因が明らかになったことで、今後、生活習慣や胃がんのHelicobacter pylori菌のような細菌感染、ウイルス感染、ゲノム全体の遺伝的バリアントの影響など、他の要因との解析が可能になる。これらの情報が統合されることで、ゲノム情報や生活環境に合わせた個別化医療がより進展するものと考えられる」と述べている。(編集部)

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