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年齢を重ねて心身が衰えるフレイル 予防に必要な「ちょい足し」とは

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食事・運動・社会参加 予防の3本柱
[フレイル講座]食事・運動・社会参加 予防の3本柱

フレイル予防のため、体の状態をチェックする参加者。講座では、運動の動画の検索方法や歩数計アプリの使い方も学んだ(3月4日、埼玉県三芳町で)

 加齢によって心身が衰えるフレイル。少しでも長く、健康に暮らすため、各地の取り組みや専門家の話から、活用できるヒントを探ります。2022年春からは「食事」「運動」「社会参加」を中心に予防法を紹介。まずは、フレイルの基本をおさらいします。(村上藍)

やるべきこと理解 意識変化

 3月上旬、埼玉県三芳町で開かれた「65歳から始めるフレイル予防講座」。6人の参加者が、町が作成した運動の動画の検索方法や、スマートフォン用アプリの使い方を学んでいた。新型コロナウイルスの影響で人と集うことが難しくなったため、インターネットを活用してもらおうと、町が内容を追加して企画した。

 講座では、個人に合った運動や散歩コースが提案されるアプリや、歩数計アプリが紹介された。参加者からは「アプリでなら簡単に取り組めそう」「やれることから始めたい」という声が上がっていた。

 町では65歳以上を対象に講座を実施。町健康増進課の担当者は「早い時期から継続して、予防を心がけてほしい」とねらいを話す。講座は5回で、ストレッチや 口腔こうくう ケア、食事など、予防法を網羅的に学べる内容だ。

 参加した橋本誠さん(75)は、講座を受けるまでフレイルについて知らなかったが、足腰が弱り、歩くのが遅くなったと感じていたという。「やるべきことが明確になって、意識が変わった。現状を維持できるように体操やウォーキングをしたい」と意気込んでいた。

フレイルとは?

[フレイル講座]食事・運動・社会参加 予防の3本柱

 フレイルは、年齢を重ね、健康なときより心身が衰えているものの、介護が必要な状態ではない、中間の段階のことだ。「虚弱」を意味する英語「frailty(フレイルティ)」が語源で、日本老年医学会が2014年に提唱した。東京都健康長寿医療センターが20年に発表した調査によると、入院などをせず地域で暮らす全国の65歳以上の8・7%がフレイル状態だった。

 フレイルかどうかは、生活の様子や筋肉量、滑舌などで総合的に判断する。東京大高齢社会総合研究機構が開発したフレイルチェックでは、両手の親指と人さし指の輪で、ふくらはぎを囲んで筋肉量を把握する「指輪っかテスト」や、「昨年と比べて外出の回数が減った」など11項目の質問に答える方法で測定する。

 フレイルの予防には、食事、運動、社会参加の三つのポイントが重要だとされる。例えば、肉や魚をしっかり食べて、ウォーキングに出かけて足腰を鍛え、ボランティア活動で地域の人と関わるといった生活だ。

 元気な高齢者を増やそうと、自治体は、予防や啓発でフレイル対策に取り組む。20年度には、75歳以上を対象にフレイル健診も始まっている。

日常生活に「対策ちょい足し」

[フレイル講座]食事・運動・社会参加 予防の3本柱

 フレイル予防のポイントを東京大高齢社会総合研究機構の飯島勝矢教授(老年医学)=写真=に聞いた。

 フレイルは、筋肉の減少ややる気が起きないなどの心身の衰え、人とのつながりの希薄化といった多面的な老いが絡み合って生じます。これらの衰えは加齢のせいにしがちですが、対策を取れば、改善が期待できます。対策をしなければ、あっという間に心身の状態が悪化しますが、きちんと対策すれば健康にも戻れる状態。それがフレイルです。

 ただ、適切な食事や運動、社会参加が大切と分かっていても、生活をガラッと変えることは難しいです。そこで「日常生活のちょい足し」を推奨しています。

 例えば、運動習慣のない人が筋トレを始めても、継続するのは大変です。でも、ゴミ出しのついでに、感染対策をしながら近所の人と話し、ちょっとした散歩もするというのは、簡単にできるのではないでしょうか。続けられる対策を日常生活に盛り込むことが大切です。

 コロナ禍による外出自粛の影響で、体を動かしたり、人と会う機会が減ったりしたため、心身機能が悪化する高齢者もいました。地域の活動の場はまだ少ないですが、オンラインなど新たな手法を取り入れることも大事です。

 いつまでも自立した生活が送れるように、日常生活を見つめ直していきましょう。

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