産業医・夏目誠の「ストレスとの付き合い方」
医療・健康・介護のコラム
部下の指導は難しい、口を開く前に上司が自ら問うべき4か条
上司と部下の関係で大切なのは、野菜の「ほうれん草」でなく、「報連相=報告・連絡・相談」にあると言われています。上司の指示に従って業務を行い、経過を報告し、必要に応じて連絡を入れ、相談することで仕事が進行する。仕事がうまくいかない時には、上司としては助言や注意を喚起する必要があります。その伝え方によっては、部下に過大なストレスを与え、パワハラにつながる場合もあります。これまで被害を訴える社員や加害上司の相談も多く受けてきました。上司の側に伝え方の配慮が足りないケースがほとんどなのですが、何に留意して指導をすればうまく回るのか私なりにも考えてきました。そのポイントをお伝えしたいと思います。ひとつ事例を紹介します。
報・連・相の過程で上司が感情的に
メーカー勤務で45歳の緒方太郎営業課長(仮名)と部下である26歳の桜井次郎さん(同)のやり取りです。
緒方課長: 桜井君、A社への販売はどう? うまくいっているの? 報告がないけど。
桜井さん: いやーちょっと、進んでいません。
緒方課長: 何がうまくいっていないのかな?
桜井さん: 担当者の反応がイマイチなんですよ。
緒方課長: 具体的に言うと、製品なのか、提案内容なのか、先方はどこに課題を感じているんだろう?
桜井さん: もう一つわからないんですよ。
緒方課長: わからないって、君、もう入社2年だろう。そこがわからないと前に進めないだろう。(声が大きくなる)
桜井さん: まあ、担当者の感触が良くないような。
緒方課長: コミュニケーションがうまくいっていないのか?
桜井さん: 会話はしていますが……。
緒方課長: しっかりしろよ、桜井。うちの製品への関心を担当者からちゃんと聞き取っているか。
桜井さん: 製品についてはちゃんと説明しています。
緒方課長: 何をしてるんだ、お前は。しっかりしろ。
桜井さん: ……。
緒方課長: 何とか言えよ!
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