医療大全
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続・新型コロナ 検査の2年<4>変異株調べるPCR開発
新型コロナウイルスの「変異株」という言葉が、社会を不安に陥れた。2020年の年末だった。
厚生労働省は12月25日、英国で最初に報告された変異株の感染者が、空港検疫で初めて見つかったと発表した。この変異株は後に「アルファ株」と呼ばれる。従来株の最大1・7倍も感染しやすいとされ、世界的に警戒感が高まっていた。ウイルスの遺伝情報を調べ、変異を分析するゲノム解析の成果だった。
これに先立つ12月半ば、国は東京都内に流入していないか調べようと、都で検査対応を担う「東京都健康安全研究センター(健安研)」に要請していた。
「11月と12月の陽性検体は全て国立感染症研究所(感染研)に持ってきてほしい」。設備の整った感染研でゲノム解析にかけるという。連絡を受けた健安研微生物部長の貞升健志(60)はメールをやりとりしつつ、もっといい手がないかを考えていた。
ゲノム解析は1検体あたり3、4日もかかる。それでは、もし発見したとしても感染を抑える対策が間に合わない。もっと素早く検査できるはず――。
部下で主任研究員(現・ウイルス研究科長)の長島真美(50)とともに、変異を調べられるPCR検査の開発に着手した。PCR検査なら数時間で結果がわかる。
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