新・のぶさんのペイシェント・カフェ 鈴木信行
医療・健康・介護のコラム
音楽で高齢者がいきいきと過ごせる場づくりを目指す
ここは、ある下町にあるという架空のカフェ。オーナーののぶさんのいれるコーヒーの香りに誘われ、今日もすてきなゲストが訪れて、話が弾んでいるようだ。(ゲストとの対話を、上下2回に分けてお届けします)

【今月のゲスト】
柴田萌(しばた・もえ)さん
昭和音楽大学卒、日本音楽療法学会認定音楽療法士。株式会社リリムジカ代表取締役。人が最期まで自分らしく生きられる社会をつくるため、介護を必要とする人が主体的に楽しめる音楽の場づくりに取り組む。担当したセッションは合計1000回以上。好きな昭和歌謡は「蘇州夜曲」「リンゴ追分」。BSフジ「にっぽんの要 ~わかる・かわる 介護・福祉」出演。
・株式会社リリムジカ ウェブサイト:https://lirymusica.co.jp/
ミュージックファシリテーターが高齢者施設を訪問 「リリムジカ」の柴田萌さん(上)

オンラインで対談する柴田萌さん(左)と筆者
春の日差しがやさしい今日。連休の商店街は人のにぎわいが戻り、散歩や買い物の人であふれている。一方、私のカフェの店内は穏やかな空気で、ピアノによるインストゥルメンタルのBGMが流れている。
カウンター席には、10年来、交流のある柴田萌さんがお越しになって、私のいれたアイスコーヒーを飲みつつ、音楽に合わせて軽く口ずさんでいる。昭和世代ならだれもがわかる、私の父も好きだった楽曲だ。
「以前、訪問したことのある施設に、この曲を好きな方がいて、すてきだなぁって思ったんです」
彼女は、「ミュージックファシリテーター」を仕事にしている。自ら高齢者施設などを訪問するほか、30人余りのミュージックファシリテーターに各所を訪問してもらう事業などを行う会社の代表取締役だ。最近では、経営者としての時間が長くなってきたらしい。
ミュージックファシリテーター。聞いたことのない職種だ。
彼女の説明によると、高齢者施設などを訪問し、一緒に歌ったり思い出話をしたりすることなどを通して、その場の雰囲気を明るくし、そこにいるみんなが楽しく、自分らしさや、できる力を見いだしていくような「場づくり」を行っている。
1 / 3
【関連記事】
※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。
※個人情報は書き込まないでください。