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楢戸ひかる「シニアライフの羅針盤」

医療・健康・介護のコラム

航空運賃に「介護割引」があるのを知ってますか? 遠距離介護で知っておきたい三つのこと

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<その2>介護の入り口「地域包括支援センター」

――「事前に知っておく」は、介護のキーワードだと思います。あわてずにすみますから。

村井: 本当にそうですね。事前に知っておきたいことの代表格は、親御さんの住む地域の「地域包括支援センター」です。介護が必要になる前から利用できます。自治体によって、地域包括支援センターに別の名称をつけていることもあります。たとえば、横浜市では「地域ケアプラザ」です。

――私も先日、“地域包括支援センターデビュー”をしました。みなさん、とても親切でした。

村井: 突然の介護が始まってあわてるよりも、前もって地域包括支援センターについて調べ、「あそこに行けばいいんだな」と思っておくだけでも、安心感は違います。「介護の初めの一歩」は、誰しもが踏み出すのに 躊躇(ちゅうちょ) するものですから。

――地域包括支援センターとはどんなところなのでしょう。

村井: 介護制度の入り口となる機関で、相談は無料です。中学校の学区程度の範囲に一つあると言われます。地域包括支援センターの管轄は「親御さんの住まい」で判断されますから、その地域を担当するセンターがどこなのかを調べることから始めましょう。土曜日にやっているところもあるので、帰省の折などに、一度、訪問してみてはいかがでしょうか?

 要介護、要支援の判定を受けていない人、つまり介護等の必要がない人向けの体操教室などもあります。

<その3>地域での暮らしを支える「地域密着型サービス」

――介護を依頼するとなると、費用はどんな感じになるのでしょう?

村井: 地域包括支援センターには、「受けられる介護サービス」と「自己負担」が記載された小冊子が用意されています。それをパラパラと眺めてみると、イメージがわきやすいのではないでしょうか。加えて、「地域密着型サービス」と呼ばれる分野のサービスについても、チェックしておくといいでしょう。

地域密着型サービスの分類
基本 派生形 要支援の人向け
在宅で利用する 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
夜間対応型訪問介護
小規模多機能型居宅介護 看護小規模多機能型居宅介護
(複合型サービス)
介護予防小規模多機能型居宅介護
地域密着型通所介護 認知症対応型通所介護 介護予防認知症対応型通所介護
施設に入居する 認知症対応型共同生活介護
(グループホーム)
介護予防認知症対応型共同生活介護
(グループホーム)
地域密着型特定施設入居者生活介護
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護

(村井さん作成)

 とりわけ知っていただきたいのは、太文字で書いた「小規模多機能型居宅介護」と「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」です。これらにかかる自己負担は、1か月あたりの金額が介護度に応じて決められています。いわば、介護の「サブスク」なんです。

――介護にも、“サブスク”があるんですね。

村井: 前述のサービスは、現段階でやっている事業者さんが多くないので、「お住まいの地域に、やっている事業者さんがいれば」というのが条件ですが、気軽に親元に行けない遠距離介護の人に向いているサービスです。利用する場合は、他のサービスは利用できない点も覚えておきましょう。

●地域密着型サービス

小規模多機能型居宅介護

  • 施設への「通い」が中心だが、自宅まで来てもらう「訪問」や「短期宿泊」の利用もできる。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護

  • 1日に複数回、定期的に自宅を訪問してくれる。コールをすれば訪問してくれる。

(村井さんのセミナー資料をもとに筆者作成)

 情報は、備えです。遠距離介護に対して漠然と不安を抱えているよりも、少しだけアンテナを立てて事前に知っておけば、安心できるのではないでしょうか?(楢戸ひかる マネーライター)

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楢戸 ひかる(ならと・ひかる)

マネーライター
 1969年生まれ。大手商社に勤務後、90年代よりマネー記事を執筆。「誰もが安心してお金のことを学ぶ場」である「お金のリビング」を主宰。その入り口として、「ザックリ家計簿」ワークショップをオンラインにて開講中。詳しくはホームページ「主婦er」で。
 お金の記事だけでなく、「家族」や「暮らし」についてもコンテンツ更新中。

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40代から備えよう「老後のお金」

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