楢戸ひかる「シニアライフの羅針盤」
「人生100年時代」と言われるようになりました。この長い後半生、「今まで通り」のやり方では乗り切れないかもしれません。やがて来る「シニアライフ」を実りあるものにするためには、今、どんな備えをしておけばいいのか? お金のこと、そしてお金以外のこと……マネーライターの楢戸ひかるさんと一緒に考えていきましょう。
医療・健康・介護のコラム
航空運賃に「介護割引」があるのを知ってますか? 遠距離介護で知っておきたい三つのこと
前回のコラム では、「3人に1人は突然、介護が必要に」とお伝えしました。今回は、とりわけ心配が尽きない「遠距離介護」が始まる前に知っておきたい三つのことをご紹介します。特定非営利活動法人くらしとお金の学校の代表理事、村井英一さんに、引き続きお話を伺いました。

イラスト:平松昭子
<その1>航空運賃には「介護割引」がある
――遠距離介護だと、交通費も大変そうです。
村井: 交通費がかかる代表格といえば、飛行機です。主な航空各社では、普通運賃より30~40%程度安くなる「介護割引」があります。
たとえば、日本航空で東京(羽田)―札幌(新千歳)便を本日(5月10日・13:30発)利用すると、普通席の普通運賃は4万1890円ですが、「介護帰省割引」を使うと2万3890円になります。
――そんな制度があるんですね。
村井: はい。ただし、いくつか決まり事があります。
●航空会社の「介護割引」を使うには?
利用できる路線
- 「介護をする方」と「介護を必要とされる方」の居住地の最寄りの空港を結ぶ一路線限定
利用できる人
- 要介護・要支援被認定者の「2親等以内の親族(満12歳以上)」と「配偶者の兄弟姉妹の配偶者」ならびに「子の配偶者の父母」( 図を参照 )
(日本航空HPより筆者が作成)
村井: 介護割引のポイントは、 当日の予約でも使える という点です。運賃的には早割・先得の方が安い場合もありますので、「計画的な帰省の場合は早割」「突発的な帰省の場合は介護割引」などと使い分けるといいでしょう。
日本航空の「介護帰省割引」の場合、有効期限は登録日から1年後の同日までですが、手続きをすれば登録は更新することができます。
●介護割引手続きイメージ

(日本航空HPより筆者が作成)
村井: 今回は飛行機を例にしましたが、介護が始まる前に、「帰省に必要な交通機関に介護の割引制度がないか調べてみる」という視点を持っておくと、介護にかかる費用が節約できます。
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