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医療・健康・介護のニュース・解説

頭痛、肩こり、腰痛…体の痛みが3か月以上続いたら 対処法は

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 3か月以上持続する痛みを「慢性 疼痛とうつう 」と呼びます。痛みの感じ方には個人差があり、加齢や心理、社会的な要因が関係する可能性があります。国内の患者数は2000万人以上との推計もあり、関連学会などが診療指針を作成し、国は診療体制や患者向けの相談窓口の整備を進めています。(辻田秀樹)

腰痛や肩こり

 痛みは、多くの人にとって身近な症状です。2019年の厚生労働省の国民生活基礎調査によると、病気やけがなどの自覚症状のうち男女ともに、多いのが腰痛と肩こりです。

 負傷などで突然起こる急性の痛みは通常数日から数週間で治まりますが、何か月も続くことがあります。慢性疼痛の原因には、〈1〉加齢や姿勢の悪さ、骨の変形といった影響で炎症が長引いたり、病気などにより痛みを伝える神経に異常が起きたりしている〈2〉痛みに関わる神経が過敏になり、少しの刺激でも痛みを感じる――ことなどが考えられます。〈2〉は学校や職場での人間関係のストレスなど心理、社会的な要因が絡みます。

 厚労省が設置した有識者検討会は10年、慢性疼痛について提言をまとめました。「痛みは患者の生活の質を著しく低下させ、就労困難を招くなど社会的損失が大きい」とし、診療・相談体制を構築するよう求めました。これを受けて厚労省は患者向けの電話相談や、診療に習熟した人材養成を目指す事業を始めています。

診療指針を作成

 18年には厚労省研究班と痛みの関連学会が連携して慢性疼痛に関する初の診療指針をまとめ、21年には改訂版が出ました。指針の作成に深く関わった愛知医大教授の牛田 享宏たかひろ さんは「検査で異常がなく、『何も問題はない』と医師に言われ、悩む患者が多い」と指摘します。医療機関を転々として治療をしても回復せず、牛田さんを頼って受診する人もいるそうです。

 治療の柱は、ウォーキング、ストレッチ、筋トレなどの運動療法や、痛みとどう向き合い、受け止めるかを学ぶ認知行動療法、非ステロイド性抗炎症薬やアセトアミノフェンなどを使う薬物療法の三つです。これらの治療で改善しなければ、患部周辺などに麻酔の注射をする「神経ブロック」を行うこともあります。

 千葉県内の男性(65)は新型コロナの感染拡大で、20年4月から在宅勤務でパソコンの作業を続けていました。次第に右親指の痛みが強くなり、昨年6月から山王整形クリニック(千葉市)に通い、痛みを抑える飲み薬による治療や、関節の可動域を広げるための運動療法などを受けてきました。

 痛みをゼロにすることにこだわらず、痛みへの考え方を変え生活の質を保つ方法について医師に助言されたという男性は「我慢できないほどではないので、痛みと付き合っていきます」と言います。

 同クリニック診療所長の高橋弦さんによると、急性の痛みを訴え受診した患者の多くは1か月程度で痛みが治りますが、このうち約2割が慢性疼痛に悩まされています。高橋さんは「痛みが、重い病気を警告しているケースもあります。我慢しすぎたり自己判断したりせず、まずは地元の医療機関を受診してください」と話しています。

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