大川智彦「先手を打って、病に克つ」
医療・健康・介護のコラム
食事制限、下剤の服用、恥ずかしさ…気が進まない大腸内視鏡検査ですが
昔に比べると、ぐっと身近になってきた人間ドックやがん検診ですが、たくさんの検査項目の中で、多くの人が「もっとも受けたくない検査」は何でしょうか? ちゃんとした調査結果はありませんが、おそらく「大腸内視鏡」がトップ、もしくは上位に来ることは間違いなさそうです。
前日から食事制限をし、朝から多量の腸管洗浄薬を服用しながらトイレと往復を続け、検査時には恥ずかしさも手伝って……。確かに「嫌われてしまう理由」はたくさんあります。これまでに大腸内視鏡を受けた方の多くが、「もっと、簡単にできる検査はないの?」と思われたことと思います。
とはいえ、現時点でもっとも確実、かつ正確に腸内の様子を確かめることができるのは、やっぱり大腸内視鏡です。
そして、日本国内でもっとも患者数が多いがんは、大腸がんなのです。
1・2センチ大のポリープで
地元の中堅企業で部長職を務めるT・Fさん(49)が、人間ドックを受診したのは2019年9月のこと。ご本人は、肥満気味と運動不足を自覚しており、毎年の検査では「高血圧」「脂質異常症」「糖尿病予備軍」を指摘されてきました。多忙な管理職の宿命か、飲食の付き合いも多く、なかなか数値の改善は進みません。
そんなT・Fさんの勤務先には、全社員が受ける通常の健康診断に加え、40歳以上の社員には、人間ドック受診への補助金が出る制度があります。これまでも毎年、欠かさずに受診してきたT・Fさんでしたが、50歳が目前となったタイミングに合わせて、初めて3次元画像を利用した大腸検査「コロノグラフィー」(3DCT)をオプションとして付け加えました。
それまでの健診や人間ドックで、「便に血液が混ざっていないか」を確かめる便潜血検査は受けてきましたが、年齢の節目による偶然とはいえ、このオプションを加えたことはなかなかのファインプレーになりました。
3DCTについての詳しい説明は後に回して、T・Fさんの話を進めましょう。
検査の結果、大腸の中に1・2センチ大に茎が伸びたキノコ状のポリープが見つかり、要精密検査となりました。
大腸ポリープは、大きく腫瘍性、非腫瘍性に分けられます。さらに、腫瘍性は悪性の「がん」、良性の「腺腫」に分かれ、非腫瘍性も「炎症性」「過形成性」「過誤腫性」などに細分化されます。
腫瘍性ポリープ |
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非腫瘍性ポリープ |
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