山中龍宏「子どもを守る」
子どもは成長するにつれ、事故に遭う危険も増します。誤飲や転倒、水難などを未然に防ぐには、過去の事例から学ぶことが効果的です。小さな命を守るために、大人は何をすればいいのか。子どもの事故防止の第一人者、小児科医の山中龍宏さんとともに考えましょう。
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両親の外出中に2歳と1歳が焼死…部屋にはライター 必要だった安全対策
毎年、子どもが火災によって死亡しています。火災の予防については、誰もが知っておくべきことですが、今回は、幼児が関与する火災を中心にお話ししてみたいと思います。
焼けたマットレスのそばに5個のライターが
総務省消防庁から発表されている 消防白書(2021年) に掲載されている2020年のデータを見ると、総出火件数は3万4691件で、前年より2992件減少し、総死者数は1326人で、前年より160人減少、負傷者数は5583人でした。
子どもが被災した火災についてみると、2020年の火災による子どもの死亡は、0~5歳が3人、6~10歳が8人、11~15歳が4人となっていました。「火遊び」による火災も321件起きています。火遊びとは、行為者が14歳未満の者で、遊びを目的として出火させたものを指します。
事例1 : 2008年1月、東京都内のアパートで2歳と1歳の男児が死亡した。両親が外出中に、2歳男児が室内の洗濯物にライターで火を付けたことが原因とみられている。
事例2: 2009年11月、水戸市の県営団地5階の男性会社員方から出火し、2歳の男児と1歳の女児が死亡する火災があった。マットレスが激しく燃えた跡があり、そばにライター5個が発見され、茨城県警は2人がライターで遊んでいて室内に引火したとみている。
東京消防庁が調べたところ、12歳以下の子どもがライターを使って火遊びをしたことによる火災は、1999~2008年の10年間に都内で計511件起き、死者も出ています。幼児の死亡例も発生し続けていることから、2009年度の東京都商品等安全対策協議会で「ライターの安全対策」について検討が行われました。当時、国内で流通するライターは年間約6億個にのぼり、そのうち9割が使い捨てタイプで、安全基準に関する規制はなく、子どもの火遊び防止に着目した検査項目はありませんでした。
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