山中龍宏「子どもを守る」
医療・健康・介護のコラム
1歳女児の足に凸凹模様が…暑い日の鉄板で深いやけど 子どもを歩かせないで
気象庁の予報によると、今年の5月は気温が高くなりそうです。春から夏に向かうこの季節は、屋外でやけどする危険性も高まります。私のクリニックで診た屋外でのやけどの例などを紹介しましょう。

イラスト:高橋まや
体重がかかって押し付けられると…
事例1: 1歳2か月女児。2004年8月16日、横浜港の船舶の見学に行き、鉄板によじ登った。帰宅後、 下腿 に鉄板の凸凹模様のやけど(1度)があるのに気づいた。写真は受傷1日後。
事例2 : 1歳1か月女児。12年7月31日午前11時30分頃、マンションの屋外にある立体駐車場の鉄製の床面に両手をついて、両手のひらに2度のやけどを負った。当日の天気は快晴で、気温は32.7℃。それまでの10日間は雨が降らず、最高気温が30度を超える真夏日が約1週間続いていた。
事例3 : 1歳1か月女児。13年8月15日午前11時。実家の庭先でビニールプールを膨らませて遊んでいた。庭には、雨どいから続く排水管があり、金属製の蓋で覆われていた。子どもが、その蓋をはだしで踏んで2度のやけどを負った。
事例4 : 1歳2か月女児。18年6月、午前11時40分。2階にある防水塗装されたベランダのコンクリート部分に歩いて出ていき、両足底に2度のやけどを負った。
子どもの皮膚は薄いため、深いやけどになりやすいのです。前に挙げた4例とも、1歳になったばかりの子どもでした。歩き始めの頃はバランスをうまくとることができないため転びやすく、転んだ後もすぐに立ち上がることができません。転倒すると手のひらなどで体を支えることになり、そこに体重がかかって強く押し付けられ、接触している時間が長くなり、やけどが進行してしまいます。また、乳幼児は、熱いものに触った時、それを回避する反射が鈍いため、触れている時間が長くなります。
暑い日の滑り台に注意!
事例5: 2歳10か月女児。04年5月31日の朝、父親の原付きバイクの近くで遊んでいた。昼過ぎに下腿のやけど(1度)に気づいた。子どもが立つと、やけどの部分はバイクのマフラーの位置に一致していた。写真は受傷6時間後。
東京都が実施したアンケート調査によると、子どもがバイクや車のマフラーに触れてやけどをした、または、やけどしそうになった経験があるという回答が35件ありました。
事例6: 5歳女児。駐車してあったバイクのマフラーにふくらはぎが当たってやけどをした。
事例7: 5歳男児。ボール遊びをしていた際に、車の下に入ったボールを取ろうとしてマフラーに触れ、やけどをした。
暑い日の公園では、滑り台、鉄棒、ジャングルジムなどの遊具が日光で熱せられ、高温になっています。チャイルドシートのハーネスをはめ込む金具も熱せられ、それに触れてやけどをすることもあります。河原でバーベキューをしていて、子どもが鉄板に手をついてやけどをするケースもあります。
事例8: 1歳女児。日差しで滑り台が熱くなっていて、おしりをやけどした。
事例9: 5歳女児。8月の公園で、ジャングルジムに触れたところ、熱かったようですぐに手を引っ込めた。
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