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電話受けた高齢者の心拍数など測定、心理状態を分析…「詐欺に注意」と音声での警告目指す

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 人工知能(AI)と犯罪心理学を組み合わせ、特殊詐欺の被害を未然に防ごうとする取り組みが、兵庫県尼崎市で始まった。市と富士通(東京)、東洋大(同)による共同研究で、詐欺グループが電話で高齢者らをだます手口に着目。会話をしている高齢者らの表情や心拍数などのデータから、だまされそうになっているかどうかを判定し、警告を発するシステムの開発を目指す。

電話受けた高齢者の心拍数など測定、心理状態を分析…「詐欺に注意」と音声での警告目指す

 詐欺グループは、「医療費の還付金がある。期限は過ぎたが、今なら特別に受け取ることができる」「未払いのサイト利用料があり、納付しなければ裁判になる」などと電話口で言葉巧みに語りかけ、金を振り込ませるなどする。「今日中に対応が必要だ」とせかして焦らせ、冷静な判断をさせないのも特徴だ。

 共同研究による詐欺被害防止システムは、電話を受けた高齢者の表情や呼吸、心拍数をカメラやセンサーで測定し、動揺したり焦ったりする心理状態をAIで分析。だまされそうになっているかどうかを判定し、電話機に付属する機器を使って、「詐欺に注意」などと音声や文章で警告することを想定している。東洋大が犯罪心理学に基づいて感情を読み取るノウハウを提供し、富士通は表情や心拍数などのデータから心理状態を推定する。

 研究チームは3月30日にシステム開発に向けた実証実験を開始。尼崎市役所で、市内の高齢者20人に詐欺グループからの電話を想定したメッセージを聞いてもらい、表情や心拍数などがどう変化するかを確認した。今年秋まで実験を繰り返し、複数の高齢者の反応例を集め、より正確な心理分析ができるようにする。

 

 東洋大の桐生正幸教授(犯罪心理学)は「特殊詐欺は、高齢者を焦らせてから、対応すれば間に合うと安心させ、『お金を受け取ることができる』と思い込ませる手口が共通している」と分析。「だまされそうになる時の高齢者の感情の起伏を示す数値を把握して、そのタイミングで警告ができれば、どんな手口の特殊詐欺も防げるはずだ」と力を込める。

 昨年の全国の特殊詐欺の認知件数(暫定値)は1万4461件で、被害は約278億1000万円に上る。県内でも859件で約11億6000万円の被害が出ており、電話がきっかけの「還付金詐欺」が310件(被害総額約2億8400万円)で最多になっている。

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