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医療・健康・介護のコラム

[お笑いコンビ・はんにゃ 川島章良さん](上)プロポーズ1時間前に腎臓がん告知 妻は「生まれてくる子が見つけてくれた」

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 8年前、32歳で腎臓がんがわかった、お笑いコンビ「はんにゃ」の川島章良さん。テレビ番組でがんを公表して以来、自分の経験が少しでも人の役に立てばと、講演の仕事でも全国を飛び回っています。幸い手術後の再発はなく、今年2月には、一連の出来事をまとめた「 はんにゃ川島のお笑いがんサバイバー 」(扶桑社)を出版しました。がんの経験を振り返って、今思うことをお聞きしました。(聞き手・藤田勝、撮影・小倉和徳)

2020年で手術から5年…「がん卒業」

[お笑いコンビ・はんにゃ 川島章良さん](上)プロポーズ1時間前に腎臓がん告知 妻は「生まれてくる子が見つけてくれた」

――腎臓がんの手術から2020年で丸5年たち、晴れて「がん卒業」ということですが、その時はどんな気持ちでしたか。

 主治医の先生からは、「とりあえず5年間はまだ怖い状態」と言われていました。完治というのはないらしいですが、5年たてば再発の確率はかなり低くなるということで、「卒業」した時は、心がすっきりしました。そこで初めて、先生と飲みに行きました。ものすごくお酒が強い先生でした(笑)。

――それから、さらに時間がたち、がんを意識することもあまりない?

 そうですね。5年間は、「またすぐがんになるかも」という不安もありましたが、今はそんな気持ちも薄れて、だいぶ楽になりました。以前は、誰かががんで亡くなったっていうニュースがあると、僕もこうなるのかなって思うときがありましたが、今はそこまでは……。それに、もしなったとしても、「早めに見つければ大丈夫」と思えます。

健康診断、がん保険…大切さを伝えたい

――2月に出版した「お笑いがんサバイバー」で、何を一番伝えたいですか。

 体に何も異変のない状態で、急にがんになったのが32歳の時。備えも何もなかったです。結婚することになり、「子どもも生まれることだし、一度、受けて見よう」と、本当に軽い気持ちで受けた健康診断でがんが見つかったので、健康診断の大切さをみなさんに知ってほしいです。

 僕らのような職種は、誰からも行けって言われないので、面倒くさがって一回も健康診断に行ったことがない人が多いです。行けば大きな病気がわかることもあります。それから、僕がすごく後悔したのが、がん保険に入っていなかったこと。幸い手術だけで済みましたが、抗がん剤治療も受けていたら、どれだけ費用がかかったか……。

――がんの告知は、結婚直前の旅行先で受けた医師からの電話だったということですが、奥さんからは、「よかったじゃん! 生まれてくる赤ちゃんががんを見つけてくれたんだよ」という思いがけない言葉が返ってきたそうですね。

 はい。そこに奥さんがいなかったら、やばいぐらいに落ち込んでいたと思います。「がんイコール死」のイメージを持っていたし、うちのおばあちゃんもがんで亡くなっていたので、それで自分も死ぬんだと思いました。しかも、「腎臓がん」を携帯電話とかで調べられる限り調べたら、結構、亡くなる率が高かった。転移しやすくて、もし転移したら全身のがんだから手術しようもなく、抗がん剤治療だけとか……。

 そんなのを見て落ち込んでいたら、お風呂から帰ってきた奥さんが前向きな言葉をかけてくれて、すごく心が救われました。プロポーズする予定の1時間前だったので、「人生の一番大事なときになんで」と思いましたが、今振り返れば、いいタイミングでわかって、すぐに救ってもらえてよかったと思います。

 告知直後は「子どもは生まれない方がいい」とも思いましたが、逆に、この子が生まれてこなかったら、健診も受けないままで、がんは見つからなかった……「この子が見つけてくれた」ということを気づかせてくれたのがありがたかったです。奥さんにそう言われた瞬間、「そうだな」と思いました。

腹腔鏡手術ではなく、あえて開腹手術を選択

――治療も前向きに受けられましたか。

 そうですね。生まれてくる子のためにも万全な状態で復帰したいと思って、開腹手術を受けました。僕は仕事で結構おなかを見せるから、傷口が小さい 腹腔ふくくう 鏡手術の方がいいって最初は言っていましたが、「きれいに取り除くなら開腹の方がいい」と先生に言われ、ちょっとでもがんを残したくないと思って「開腹にします」と答えました。

――結果的には開腹手術でがんを取りきれたようですね。

 はい。初期のがんで、先生からは奇跡的に見つかったと言われました。初期の腎臓がんは、見逃しちゃう人も多いようです。僕も症状はなかったです。ちょっと不摂生で、体がだるいのはいつものことだったので、気づかなかったのかもしれないですけど。

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