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がんのサポーティブケア

 がんやがん治療に伴う副作用が及ぼす痛みやつらさを和らげ、がんと闘う患者を支えるのが「がんのサポーティブケア(支持医療)」です。手術や放射線、薬物療法をはじめとする、がんを治すための医療と車の両輪の関係にあります。この連載では、がんに伴う痩せの悩みや、治療に伴う副作用、痛みや心のケアなど、がんのサポーティブケアが関わるテーマについて月替わりで専門家にインタビューし、研究の最前線や患者・家族らへのアドバイスについて伺います。

医療・健康・介護のコラム

外科医ならではのがん支持医療もあることを訴え 外科医の参加を促す

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宇和川匡・慈恵医大病院腫瘍センター長に聞く

 がん患者の闘病を支えるがんの支持医療について専門家に聞く「がんのサポーティブケア」。第16回は、第7回日本がんサポーティブケア学会学術集会(2022年6月18・19日、海峡メッセ下関)の会長を務める慈恵医大病院腫瘍センター長の宇和川匡(ただし)さんがゲストです。肝胆膵(かんたんすい)が専門の腫瘍外科医・腫瘍内科医として、がんの支持医療に取り組むようになったきっかけや、今回の学術集会の特色などについてうかがいました。(聞き手・田村良彦)

難治がんの代表 膵臓がん患者と向き合って

外科医にしかできないがんの支持医療もあることを訴え 外科医の参加を促す

宇和川匡さん

――宇和川先生はもともと消化器外科がご専門とうかがいました。がん医療への関わりについて教えてください。

 専門は肝胆膵外科で、中でも膵臓(すいぞう)がんを中心にやっています。そもそもは、医学部生の頃に膵臓手術の名医の先生の授業を聴いたのがきっかけで、自分も外科の中でも難しいとされる膵臓の手術ができる外科医になりたいと志しました。

――膵臓がんは、治療の難しいがんの代表ですよね。

 若手だった頃、ICU(集中治療室)で当直勤務をしていると、患者さんは大体、肺がんか食道がん、膵臓がんの方でした。肺がんに対しては近年、様々な薬物療法が登場していますし、食道がんに対しては薬物療法、放射線と薬物療法を組み合わせた治療法も進んでいます。

 一方、膵臓がんはさまざまな研究が行われているにもかかわらず、依然、厳しい状況にあります。手術が可能な人は2、3割に過ぎませんし、手術をしてもかなりの確率で再発します。

――手術の対象にならない多くの膵臓がんには、薬物療法が行われるわけですか。

 おっしゃるとおりです。膵臓がん患者さんのうち手術ができる方は2、3割ですので、それ以外の方の治療は薬物療法になります。膵臓がんに対する薬物療法には二つの代表的な標準治療がありますが、残念ながら生存期間の中央値は12か月を超えることができていません。新たな治療法開発のための臨床研究が必要ですし、強い副作用を伴う薬物療法を続けるためには、支持医療が極めて重要になってきます。

 現在は腫瘍センターで肝臓・胆道・膵臓がんに対する臨床研究を含む薬物療法をメインの仕事にしています。

――どんな臨床研究を行っているのですか。

 膵臓がんに対する手術ができない理由は二つあります。一つは膵臓以外の臓器に転移(遠隔転移)している場合、もう一つは遠隔転移はないけれど周りの主要な血管に浸潤(局所進行)していて手術で取りきれない場合です。現在は、局所進行膵臓がんに対して放射線化学療法を行って切除可能な状態にまで持ってくることができないかといった、研究を進めています。

 また、薬物療法においては、今まで効いていたのに、ある時から急に効かなくなることが珍しくありません。その理由は、薬物療法にやられていたがん細胞が、その環境を生き抜くために自分を変化させるからです。

 具体的には、自分の遺伝子を変化させる(遺伝子変異)ことによって生き延びようとするのです。このがん細胞が薬物療法から生き延びようとする際の詳しいメカニズムは分かっておらず、そのメカニズムの解明に関する臨床研究も行っています。

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がんのサポーティブケア

 がんやがん治療に伴う副作用が及ぼす痛みやつらさを和らげ、がんと闘う患者を支えるのが「がんのサポーティブケア(支持医療)」です。手術や放射線、薬物療法をはじめとする、がんを治すための医療と車の両輪の関係にあります。この連載では、がんに伴う痩せの悩みや、治療に伴う副作用、痛みや心のケアなど、がんのサポーティブケアが関わるテーマについて月替わりで専門家にインタビューし、研究の最前線や患者・家族らへのアドバイスについて伺います。

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