大橋博樹「かかりつけ医のお仕事~家族を診る専門医~」
医療・健康・介護のコラム
新型コロナは高齢者の抗体が低下する6月以降に警戒…大橋博樹医師
新型コロナウイルス感染者数は下がり切らず、マスクは外せませんが、春の陽気に少し開放感が広がっています。第一線で新型コロナと闘う開業医の代表として、東京オリンピックの開会式で聖火を持った大橋博樹さんの多摩ファミリークリニック(川崎市)では、子供の感染者が増えたことから、先月下旬には、子供用発熱外来の枠を新たに設けて対応しています。大人も含めて陽性率は5割といい、感染者は少なくありませんが、重症者がほとんど出ていないこともあって、切迫してはいないようです。しかし、高齢者の3回目接種の効果が弱まる6月以降を心配しています。終息とは言えない新型コロナの診療現場と課題について聞きました。(聞き手・渡辺勝敏)
新たに「子供用発熱外来」を設置
――診療所では午前中を発熱外来として、1日40人の発熱患者に対応してこられましたが、このところはどのような状況ですか。
3月の中旬には患者さんが減ってきたので、「ひと息ついたな」と、1日15~16人の枠に縮小したのですが、ほんの数日すると、0歳児から11、12歳のお子さんやそのご家族の問い合わせがぐっと増えました。それで3月22日から、午後に子供用の発熱外来の枠を設けました。ずっと子供の感染は少なかったので、通常の診療枠で診ていたのですが、それで対応するのは難しくなりました。保育園でもらってくることが多いようですね。
――たくさんの感染者が出ているわりには、入院病床が 逼迫 していないため、1、2月のような切迫感はないようですね。
1、2月は、高齢者施設でのクラスターがあっちこっちで起こり、病床確保が厳しくなっていて緊迫感がありました。昨年のデルタ株の時には、20代の方でも一定の確率で肺炎になったので入院するかどうか判断が必要でした。しかし、今年3月中旬ごろからの伸びは、お子さんや若い方で、しかも症状は、「熱が出て、のどが痛い」とか、「食欲がなくてぐったりしている」という感じで、風邪と区別がつきません。重症化することが少なくて、数日で自然によくなる経過の方が多いですね。
症状は風邪と変わらないが感染力強く一家全員感染も
――新型コロナ感染といっても、風邪と変わりないということですか。
普通の風邪だと、「その子だけ」ということが多いんですけど、コロナの場合は、感染力が強くて家族全員がぐったりしている、一家全滅のような場合もあって大変です。それに 倦怠 感が続くとか、夜眠れないといった後遺症が続くケースもあるし、高齢者や基礎疾患がある方の場合は、インフルエンザや風邪よりも重症化しやすいとされています。メカニズムなどわからないことは多いのですが、今はまだ、風邪と同じとは言えないですね。お子さんや若い方にとっては風邪に近くても、家庭内感染が多いので、家の中に基礎疾患のある方とか高齢の方がいる時は気をつけなければいけません。
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