変形性股関節症 なぜ痛む
変形性股関節症と診断されました。MRI(磁気共鳴画像)検査の結果、医師に「手術は不要」と言われましたが、ひどく痛みます。水泳などで筋肉を鍛えるよう勧められましたが、やめています。痛みの原因は何ですか。(70歳女性)
軟骨が摩耗 骨同士ぶつかる
加畑 多文 金沢大学病院整形外科准教授(金沢市)
股関節が変形したり、関節表面の軟骨がすり減ってきたりした状態を「変形性股関節症」といいます。
患者の多くは女性です。「寛骨臼形成不全」といって、生まれつき股関節の体重を支える部分が狭い人が発症することが多いです。
軟骨が摩耗して骨同士がぶつかったり、関節の中の滑膜に炎症が起きたりすることが痛みの原因です。進行すると、立ったり、歩いたりするだけで痛みます。
基本的に、痛み止めの薬を飲んだり、股関節周りの筋力を強化する運動療法をしたりして経過を見る場合が多いです。
「手術不要」と判断されたのは、変形や摩耗の程度が比較的軽度であったためと考えられます。水泳や水中歩行は、浮力で股関節の負担が軽減されるためお勧めですが、痛みが落ち着いてから行うのがいいでしょう。つえを使うことや、体重を増やさない、重いものを持たないといったことも心がけましょう。
一方、薬や運動療法、生活習慣の改善をしても効果がみられない場合は、手術を検討します。進行した状態なら、人工関節に入れ替える手術が一般的で、痛みは劇的に減ります。最近の人工関節は、20年以上の耐用年数が見込めるようになりました。痛みが激しく、他の治療が有効でなければ、人工関節手術も一つの選択肢です。