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がん患者団体のリレー活動報告

医療・健康・介護のコラム

NPO法人葵会

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 がんと宣告された時から生活は一変します。「何かの間違いだろう」「知りたくなかった」などと思う方もいるかもしれません。最初は、入院や手術のことで頭がいっぱいですが、その後も様々な困難に立ち向かっていかなくてはなりません。私たちは、そのような患者さんや家族をほんの少しでもサポートできればとの思いで、長崎県佐世保市を中心に活動しています。

NPO法人葵会

「来場型」と「オンライン型」のハイブリッド形式で開催されたがんチャイルドケアセミナー。講師はNPO法人Hope Tree代表理事の大沢かおりさん(2021年12月、長崎県佐世保市内で)

ピアサポートの対象を広げ誕生した「紙芝居」

 会理事長の吉村市代です。よく耳にする言葉になってきた「ピアサポート」(同じ病気や悩みを抱える仲間の支援)ですが、当初はがん患者さん本人にしか目は向いていませんでした。2018年2月、病院主催の公開講座で「がんチャイルドケア」という、親ががんになった子どもへのサポートがあることを知りました。

 その年の夏、ある団体からピンクリボン啓発活動の依頼があり、何か新しいスタイルでの発信をと考えたのが、大人も子どもも、見やすく、わかりやすく、興味をひかれる紙芝居です。お母さんが乳がんになったが、なかなか子どもに伝えられないでいるある家族のお話「紙芝居 おかあさんがんってなあに?」が誕生しました。

「紙芝居」を絵本にしたい

 イベントなどで紙芝居公演を行っていく中、テレビ局から取材を受け、「親のがんをどうやって子どもに伝えるか」という番組が放送され、少しずつ認知されるようにはなってきましたが、限界があります。

 そこで、「絵本にしたら病院や図書館などに置いてもらえるかも。そうしたらもっと多くの人に伝わるのではないか」と思いました。

 紙芝居のストーリーをYouTubeで確認(https://www.youtube.com/watch?v=YV2vBUbsnyY&t=70s)できるようにして、病院などに依頼する際、事前に内容をチェックしてもらいました。うれしいことに、昨年のがんチャイルドケアオンラインセミナーに参加された方が各地の病院を紹介してくださり、絵本を全国に贈るプロジェクトを始めました。

 現在までの主な設置機関は、日本女子大学公衆栄養学研究室、認定NPO法人がんとむきあう会、及川病院、国立がん研究センター希少がんセンター、帯広協会病院、長崎大学病院乳腺・内分泌外科、長崎県内の公立図書館などです。

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「おかあさんがんってなあに?」の絵本が寄贈された「認定NPO法人がんとむきあう会」

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日本女子大学公衆栄養学研究室にも「おかあさんがんってなあに?」の絵本が寄贈されている

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寄贈された絵本などを閲覧してもらうコーナーを設置している医療法人にゅうわ会及川病院(福岡市)

がんチャイルドケアセミナーをハイブリッド形式で

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長崎キワニスクラブから寄贈されたキワニスドール

 NPO法人Hope Tree代表理事の大沢かおりさんを佐世保市にお招きして2021年12月、ハイブリッド形式で、がんチャイルドケアセミナーを開催しました。セミナーでは、「キワニスドール」が使われました。白い布に綿を詰めたシンプルな人形のことで、医師や看護師が人形を使って病気の子どもたちから病状を聞いたり、治療の説明をしたりして、子どもたちから恐怖心を取り除きます。長崎キワニスクラブ様から寄贈していただいたこの人形を、オンライン参加の方に事前に郵送しました。

 オンラインは、遠方の方、自宅から出にくい方、入院中の方でもパソコンやスマートフォンがあれば参加・視聴が可能です。コロナ禍で活動しにくい状態が続いていますが、現地に集合できない方や接触を避けたい方にとっては画期的な参加方法と言えます。オンラインを活用し、全国の方とつながることも可能になってきました。

がん教育にも一役

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長崎市立神浦小学校終業式で、がんに関する絵本が届いたことを報告する校長先生(左)(今年3月)

 がん 罹患(りかん) 率ワースト上位の長崎県では、少し遅すぎる気もしますが、がん教育がやっと始まり、県から講師の依頼を受けました。授業を行うのは、全校生徒が20人程度の小さな小学校です。校長先生と初めて電話で打ち合わせをした際、県担当者から実施にあたり、「講師は医療者と、がんサバイバーのどちらを希望しますか?」とのお尋ねがあったと聞きました。その校長先生は、がんサバイバー講師を希望されたわけですが、ご自身が現在がん治療中だったのです。

 1年生から6年生までの児童が対象で、年齢差が気になります。まず、先に紙芝居のDVDを学校に送り、授業の数日前に児童の皆さんに見てもらうことにしました。興味深く見てくれたそうです。

 がんという病気、がん治療、がん検診の重要性、がん教育など、いろいろな要素を含んだこの絵本で、がんの正しい知識と子どもに話す時の小さな支えや希望をお届けしていきます。絵本を入手されたい方は、下記のアドレスからお申込みください。
 ⇒ https://npo-aoikai.org/child-care.html

 最後に。今年6月11日と12日、長崎県では初となる、がん患者・家族を支援する「リレー・フォー・ライフ・ジャパン佐世保」を市中心部の島瀬公園と周辺商店街で開催します。全国の皆様、「海風薫る港街佐世保」で待っとるけんね!

NPO法人葵会

 2013年5月、NPO法人として設立認証を受けた。設立と同時に、長崎県から採択を受け、県医療政策課と協働で女性特有のがん対策プロジェクトチームの事業を開始。協働事業終了後は単独で「SASEBOピンクリボン祭り」などの啓発イベントを主催。そのほか、ピアサポート事業として「がんチャイルドケア」の実施、ウィッグ(かつら)の無料レンタル、タオル帽子寄贈、「街の保健室」開設、がん相談対応などを行っている。

 一昨年からのコロナ禍でもオンラインを活用しハイブリッド形式でのセミナーも展開している。

ホームページ https://www.npo-aoikai.org/

 このコーナーでは、公益財団法人 正力厚生会が助成してきたがん患者団体の活動を、リレー形式でお伝えします。

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公益財団法人 正力厚生会

 正力厚生会は1943年(昭和18)に設立され、2009年に公益財団法人となりました。「がん医療フォーラム」の開催など、2006年度からは「がん患者とその家族への支援」に重点を置いた事業を続けています。
 現在は、医療機関への助成と、いずれも公募によるがん患者団体への助成(最大50万円)、読売日本交響楽団弦楽四重奏の病院コンサート(ハートフルコンサート)を、事業の3本柱としています。
 これからも、より質の高いがん患者支援事業を目指していきます。
 〒100-8055 東京都千代田区大手町1-7-1 読売新聞ビル29階
 (電話)03・3216・7122   (ファクス)03・3216・8676
  https://shourikikouseikai.or.jp/

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