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宮脇敦士「医療ビッグデータから見えてくるもの」

医療・健康・介護のコラム

最もリスクが高いグループに介入すれば最も効果が高い……とは限らない

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効果のばらつきについて考える

最もリスクが高いグループに介入すれば最も効果が高い……とは限らない

 今回で連載をもたせてもらって2年目に入ります。ありがとうございます。今回は、私がいま興味を持っているテーマについて紹介したいと思います。

 それは、効果のばらつきです。

 みなさんも、同じ治療でも人によって効果にばらつきがあるのを、なんとなく実感することがあると思います。この薬は、あの人にはとても効いたけど、私には全然効かない、などと感じたことはないでしょうか?

 私たちが受けている様々な治療や薬、公衆衛生学的介入の効果・効能は、臨床試験や疫学研究で証明されているものがほとんどです。しかし、ここで証明されている効果・効能とは、基本的には、ある介入をすれば「集団全体で平均するとどのくらいの効果があるか?」を示しているのです。

集団全体での効果は同じように見えてもその中身は?

 例えば、血圧の薬AとBがあって、両方とも平均で5血圧を下げる薬と評価されているとします。しかし、

 ・薬Aは血圧が10下がる人が半分、変わらない人も半分

 ・薬Bは全員が5下がる

 だとすると、この2種類の薬は、集団全体の平均の効果は全く同じなのですが、中身は全く異なるということになります。

 薬Aで血圧が下がらない半分の人にとっては、薬Bの方が薬Aよりも良い薬かもしれません。

 しかし、処方している医師も、平均するとどれだけ効果があるかはわかっていても、目の前の患者にどれだけ効果があるかは正確にはわからない(データが不足している)ことが多いため、平均の効果で治療の判断をすることが多いのです。

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宮脇 敦士(みやわき・あつし)

 2013年、東京大学医学部医学科卒業、医師免許取得。せんぽ東京高輪病院・東京大学医学部附属病院で初期研修後、東京大学大学院医学系研究科社会医学専攻にて、医療政策・応用統計を専攻し、19年に博士号取得。東京大学特任研究員、筑波大学研究員、日本学術振興会特別研究員、Harvard T.H. Chan School of Public Health 客員研究員などを経て、20年から東京大学大学院医学系研究科社会予防医学講座助教。大規模データを用いて良質な医療を皆に届けるにはどうすればよいかということを研究している。

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