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ロシア軍の民間人虐殺「意図的な作戦」…米国務長官「殺害や拷問、性的暴行が目的」
【ワシントン=横堀裕也】ウクライナの首都キーウ(キエフ)近郊ブチャなどでロシア軍が多数の民間人を虐殺した疑惑に関し、米国のブリンケン国務長官は5日、「意図的な作戦」と述べ、露軍が組織的・計画的に実行したとの認識を示した。ウクライナ検察当局は5日、「戦争犯罪の容疑で約5000件を捜査している」と明かしており、ロシアの組織的犯行だと追及する動きが強まっている。
ブリンケン氏は記者団に「我々が目撃しているのは、ならず者による暴走ではない。殺害や拷問、性的暴行など残虐行為を目的にした意図的な作戦だ」と語った。
ブチャでの惨状が明らかになったのはロシア軍撤退後の4月2日で、ブリンケン氏は3月23日、露軍兵士による「戦争犯罪」が行われているとする声明を発表していた。米情報機関は、その時点で状況を把握していた可能性がある。
露軍が撤退した各地から深刻な被害が次々と伝えられている。キーウ近郊ホストメリの当局者は6日、地元ラジオ局に「殺害された人も含めて400人以上が行方不明になっている」と述べた。人口約1万7000人のホストメリは1か月以上、露軍が占拠していた。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が「ブチャよりも被害が深刻」と語ったキーウ近郊ボロジャンカについても、米紙ニューヨーク・タイムズは「200人以上が行方不明」と報じた。
ウクライナ国防省の情報機関は5日、ブチャでの民間人殺害への関与が疑われる露軍部隊が、近く東部の激戦地に配備されるとの分析を公表した。危険地に送り込み、犯罪の実態を隠す「口封じ」の意図もあるとしている。
一方、タス通信によると、ロシアのプーチン大統領は6日、ハンガリーのビクトル・オルバン首相との電話会談で、露軍が民間人を虐殺したとの疑惑に関し、ウクライナによる「挑発」と主張して関与を否定した。
露国防省は6日、ウクライナ軍に関係するとして、西部リビウ州や南部ミコライウ州など5か所の燃料施設をミサイルで攻撃したと発表した。英国防省は6日、露軍が南東部マリウポリで激しい空爆を続け、人道状況も極めて悪化しているとの分析を示した。
インターファクス通信によると、露大統領報道官は6日、旧ソ連の対独戦勝記念日の5月9日に、軍事パレードを実施するとの予定を明らかにした。「勝利」宣言に向け、東部や南部での攻勢を強めるとみられる。
こうした中、ロイター通信によると、東欧チェコは旧ソ連製戦車「T72」をウクライナに供与した。ロシアの侵攻後、国外からの戦車提供は初めてとみられ、北大西洋条約機構(NATO)加盟国による軍事支援が加速している。
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