子どもの健康を考える「子なび」
医療・健康・介護のコラム
おなかのトラブル(9)繰り返す痛みや胃もたれ 心的原因も
このシリーズでは、大阪母子医療センターの恵谷ゆり消化器・内分泌科主任部長に聞きました。(聞き手・石川千佳)
様々なおなかの病気を紹介してきましたが、特別な病気はないのにみぞおちの辺りが繰り返し痛くなったり、胃もたれしたりするということがあります。このような症状を「機能性ディスペプシア」といい、子どもから大人まで多くの患者さんがいます。
血液検査や内視鏡検査などをして食道炎や胃炎・胃潰瘍、十二指腸潰瘍、ピロリ菌感染症などの病気がなさそうであることを確認したら、そのことを本人や保護者に説明します。そうと知って安心するだけで症状が和らぐことがあります。
しかし、胃腸の動きを痛みとして感じやすい体質であるほか、胃の動きが悪くなっていたり、胃酸の分泌が刺激になっていたりすることが原因のこともあります。消化管運動機能改善薬や胃酸分泌抑制薬、漢方薬などいろいろ試しながら効果のある治療を探します。
心配性な性格やうつ傾向、精神的なストレスが関係していることがあるので、学校生活や家庭の状況を丁寧に聞き取ることも重要です。カウンセリングなどの心理的なサポートが必要な場合もあります。
おなかの痛みと関連して、便秘や下痢などの便通異常を伴う「過敏性腸症候群」を合併している人も多く、その場合は便通を整える治療も行います。
胃腸は動きすぎても、動きが悪くても腹痛の原因になりますが、普段の生活に支障があるようなら医療機関で相談してください。食事を工夫したり、薬を使ったりして痛みをコントロールしながら上手に付き合っていきましょう。
【略歴】
恵谷ゆり(えたに・ゆり) 日本小児科学会専門医、日本肝臓学会肝臓専門医。大阪市立大卒。大阪府立急性期・総合医療センター(現大阪急性期・総合医療センター)小児科、大阪母子医療センター消化器・内分泌科に勤務し、2017年から現職。
◎「子なび」は今回で終わります。
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