教えて!ヨミドック
医療・健康・介護のニュース・解説
心身の健康保つ「化粧療法」って何?
Q おばあちゃんがデイサービスでお化粧してきたよ。とてもうれしそうだった。
ヨミドック それはよかったですね。「化粧療法」の一環かもしれません。
Q 化粧療法?
ヨ お化粧をしたり、誰かにしてもらったりすると、心理面、身体面の双方に良い影響を与えることが分かってきたんです。介護施設などのリハビリやレクリエーションで取り入れられています。
Q どんな効果があるの?
ヨ 化粧は、視覚や触覚、嗅覚を刺激し、化粧後は見た目が変わります。気分を明るくし、人に会うときの自信につながるでしょう。化粧療法で、抑うつ状態を評価するスコアが改善されたり、自分が健康だと思えてきたりすることが報告されています。
Q 分かる気がする。
ヨ 他にも、スキンケアで頬や顎を意識して触ると、唾液腺を刺激し、唾液の分泌が増えます。高齢者は加齢や薬の副作用で口が渇きがちですが、唾液には、 口腔 内の雑菌の繁殖を抑えて 誤嚥性 肺炎を予防し、消化を促すなどの効果があります。
また、化粧をする動作は腕の筋肉を食事の際よりも使います。化粧品のフタを開け、スプレーを押し、顔を触るなどの一連の動きですね。要介護状態の高齢者が3か月間、自分で毎日スキンケアをしたところ、握力が向上したという調査があります。
Q なるほど。
ヨ 認知症の症状を抑えることも分かってきました。認知症の90歳前後の女性36人を対象にした岡山大の研究では、スキンケアとメーキャップをしてもらった人は、スキンケアだけの人と比べて、興奮や 徘徊 といった認知症の行動・心理症状(BPSD)が減りました。2週間に1度、3か月続けると、認知機能検査の点数が改善しました。化粧を通じて、周囲とのコミュニケーションが豊かになるのも一因かもしれません。
Q お化粧が苦手な人や、男性はどうすればいいの。
ヨ 爪や髪、眉を整える、リップクリームを塗る、ひげそりの後にローションを使うなど、身だしなみを整えることも、広い意味での化粧療法と考えられます。
普段の生活の中で、これまで行ってきた化粧や整容をできるだけ長く続けることが、健康維持につながります。
(影本菜穂子/取材協力=田所功・岡山大脳神経内科医師、池山和幸・資生堂化粧療法リサーチャー)
ヨミドックは読売新聞の医療サイト・ヨミドクターのお医者さんキャラクターです。
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