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豪雨被災者の認知症増、引き金は「ストレスや介護サービス休止」…レセプト3億枚分析

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 2018年7月の西日本豪雨で被害が集中した広島、岡山、愛媛の3県の被災者で認知症になった高齢者が増えていたことが、広島大の鹿嶋小緒里准教授(環境学)らの研究グループの調査でわかった。約3億枚のレセプト(診療報酬明細書)を分析し、被災後に治療薬を処方された高齢者が増えたことを突き止めた。グループは「被災によるストレスや、介護サービスの休止が原因」と指摘している。(木村ひとみ)

豪雨被災者の認知症増、引き金は「ストレスや介護サービス休止」…レセプト3億枚分析

 鹿嶋准教授は豪雨直後、土砂災害被害が大きかった広島県坂町小屋浦地区でボランティア活動を行った。高齢化が進み、復旧や後片付けが進まない町の様子に心を痛め、災害による認知症の進行の有無など、高齢者の実態を研究することを決めた。

 認知症治療薬の服用には、医師の診断が必要になる。このため、震災前後に出されたレセプトを調べれば、認知症治療薬を処方された高齢者の増減がわかる。

 グループは厚生労働省の許可を受け、災害前後の17年7月~19年6月、3県の約562万人に処方されたレセプト約3億枚を分析。調査には地域医療に携わる医師らも参加した。

 分析の結果、豪雨発生後に認知症薬の処方が始まった高齢者は1万7841人だった。うち被災者が212人、被災していない人が1万7629人で、発症率は被災者が1・4%と、被災していない人(1・1%)の1・3倍だった。

 災害後、薬の量や種類が増えた人は2507人だった。被災者は38人、被災していない人は2469人で、発症率はそれぞれ5・9%、3・9%と、被災者の割合が高かった。

 研究グループは、高齢者や家族が被災して別居を余儀なくされたり、デイサービスなどの休止でリハビリができなくなったりしたことが原因ではないかと分析している。

 東日本大震災など、大規模災害により、高齢者の認知機能が低下する可能性は指摘されていた。研究グループは「処方箋の分析で、指摘を裏付ける結果となった」としている。

 認知症は一度発症すると完治は難しく、急激に悪化することも多い。鹿嶋准教授は「研究で、大規模災害では、認知症になる人も多く出る可能性が高いことがわかった。避難所の運営などの災害対策を策定する際に、認知症の専門家も入れるべきだ」と呼びかけている。

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