オリックス・バファローズ選手 安達了一さん
一病息災
[オリックス・バファローズ選手 安達了一さん]潰瘍性大腸炎(2)スタンドから「お帰り」 泣きそうに
2016年1月、国指定の難病「潰瘍性大腸炎」の治療で入院した時、テレビをつけなかった。絶食を続ける中で、グルメ番組をたまたま目にするのがつらかったからだ。代わりに、本やインターネットで自身の病気を調べた。
完治はせず、安定している「寛解期」と、症状が激しくなる「活動期」を繰り返す。食物繊維を多く含む野菜や、脂っこい揚げ物などは、症状を悪化させる恐れがあり、控えめにするのが望ましい。ストレスをためないことも大事――。知らないことばかりだった。
翌月に退院、体重は10キロほど減り、体力も落ちてしまった。しばらくして練習を再開したものの、キャッチボールをするのがやっとだった。徐々に体を戻して、4月12日に一軍に戻ると、いきなりスタメンで出場した。
三回の初打席に左前打を放つなど2安打をマーク。スタンドからの声援もしっかり聞こえた。「お帰り」という呼びかけもあり、「泣きそうになりました」。
少しずつ調子を上げて、7月には22試合に出場し、月間打率3割8分を記録。入団5年目で初めて、リーグの月間最優秀選手(MVP)を受賞した。技術面は自分では変わっていないと思う。
「不思議な感じ。結果を出せたのは、周囲の人のサポートのおかげ」
これまでのファンだけではない。同じ病気や、ほかの難病と闘う人たちの応援も、背中を押してくれた。
◇
プロ野球 オリックス・バファローズ選手 安達了一さん(34)
【関連記事】