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作品を活用 仕事創る…橋爪大輔さん
障害者と社会をつなぐ 企業「ふくしごと」社長 橋爪大輔さん 53
障害のある人たちが描いたイラストや絵画をデータ化し、企業に貸し出したり、販売したりする事業を展開しています。これまでに登録した作品は約4000点。その中から作品を選んでもらい、パンフレットや看板、グッズにそのデザインを使ってもらいます。
障害者と社会とをつなぐことで、障害者ができることを増やしていく。そんな心地よい循環をつくることを目指しています。
「障害者の仕事をどうつくればいいのか」「工賃を上げるにはどうすればいいのか」。障害福祉サービス事業所から相談を受けたのが、事業を考え始めたきっかけでした。この事業所とは、イベントを通じて関わりがあったのですが、具体的な悩みを聞いたことはありませんでした。
障害者の就労を支援する施設では、食品や雑貨といった様々な商品を販売しています。しかし、施設のスタッフにビジネスのスキルがないため、販路を拡大したり、収入を増やしたりといったところまで手が回らないのが現状でした。
施設には、働きたいという意欲を持っている障害者がたくさんいます。にもかかわらず、工賃が安く、自立するには難しい状況だということも知りました。
そこで、2015年に株式会社「ふくしごと」を設立し、施設で作った食品や雑貨の販売を始めました。「日々のてまひま」というブランド名で、現場の物語とともに商品を届ける形を取っています。会社組織にしたのは、ビジネスとして続けていこうと考えたからです。
また、施設の中で取り入れられているアート活動にも注目しました。しかし、障害者の描いたイラストや絵が、作品として評価されることはあまりありませんでした。そこで、作品をストックして、活用することにしたのです。ダイバーシティー(多様性)に関心のある企業も多く、利用が広がっています。
障害者がどのような状況に置かれているのかを企業に知ってもらうことで、障害者の働く環境を変えることができると考えています。できることを企業側に提案し、企業と障害者がいっしょに仕事を創っていくような、さらに一歩踏み込んだ活動をしていきたいです。(聞き手・本田克樹)
〈記事は紙面掲載の「わたしのビタミン」から〉
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