なかさとみ「吉本芸人 卵子提供で2人のママに」
医療・健康・介護のコラム
SNSによる精子取引トラブルで、絶対に起きてはいけないことが… 公的相談窓口設置が急務
数か月前ですが、奇遇なことにデンマーク在住の方とアメリカ在住の方から同じ時期にご連絡をいただきました。最初に、お2人が私にお話しして下さったことの中で、印象に残ったことを書いてみたいと思います。
デンマークは、卵子・精子提供の実施についてすでに法整備されており、不妊治療の選択肢として珍しくなくなっています。そのような国に住んでいる方から見ると、日本は法整備がまだとはいえ、いまだに「卵子提供ビジネスの闇」などという表現でメディアに取り沙汰されることに違和感があるようでした。
アメリカでは、生殖医学会(ASRM)などが卵子・精子提供で生まれた子供についての見解を公表しており、子供の発達、適応、幸福度には明らかな影響は見られない、としているようです。アメリカ在住のSさんは「なかさんのブログやコラムを読んで、日本では、最初にカウンセリングを受けたり、医師からインフォームドコンセントを受けたりすることができないことを知りました」とおっしゃっていました。
Sさんのお住まいの州では、不妊クリニックでどのように卵子提供を受けるのか、教えていただきました。まず最初に専門のカウンセラーと面談し、次に不妊治療専門医からインフォームドコンセントを受ける。ここで本当に卵子提供を受けるかどうか、夫婦で話し合いをします。
卵子提供を受けることを決めた場合は、子宮頸がん検診、マンモグラフィー、健康診断、心臓外科の検査(年齢的に妊娠できるかの判断のため)などを行い、通常分娩(ぶんべん)でない特殊産婦人科医との面談、不妊治療医による事前検査、子宮卵管造影検査、血液検査、夫側の遺伝子検査などを受けることになっているようです。
すべて終わるのに4~5か月ほどかかったとおっしゃっていました。また医師からは、子供にドナーの情報を伝えられるように非匿名のドナーを選ぶ方がよいと言われたそうです(以上は、あくまでSさん個人の体験と感想です)。
年齢的に妊娠可能かどうかを判断するための事前の検査や特殊産婦人科医との面談などは、高齢で卵子提供を希望する人にとっては安心につながる内容かと思います。この時点で問題があると医師が判断すれば、それ以上進むことができません。患者の安全性にも目を向けているのが分かります。今の日本で、このような流れは希望してもできません。それは20年以上経過した今も法整備されないまま放置されているからです。その間にたくさんの人が年齢的に待てずに、危険な卵子・精子提供を受けています。
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