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大川智彦「先手を打って、病に克つ」

医療・健康・介護のコラム

人間ドックの「PSA検査」で前立腺がんを指摘されて

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 昭和を知る世代には、また悲しい 訃報(ふほう) が飛び込んできました。長年にわたってテレビや映画で活躍してきた歌手・俳優の西郷輝彦さんが、2月20日、前立腺がんのため亡くなったのです。報道によると、10年以上もの間、西郷さんは仕事への復帰を目指して、病気と闘ってきたそうです。

 前立腺がんは、「人口動態統計がん死亡データ」によると、2018年の段階で男性の部位別がん 罹患(りかん) 数で1位でした。一方、2019年の死亡数は7位です。肺がんや胃がん、大腸がんなどに比べると、進行が比較的、遅いという特徴があり、ややおとなしい性質なので、西郷さん死去のニュースは本当に残念です。

 今回は男性にとって気になる、前立腺がんの患者さんの例です。

グレーゾーンの数値が…

人間ドックの「PSA検査」で前立腺がんを指摘されて

 現在63歳になるHさんが、毎年欠かさずに受けてきた人間ドックで、「PSA(前立腺特異抗原)が基準値を大きく上回っている」と指摘されたのは2016年のこと。

 PSAは前立腺がんの代表的な腫瘍マーカーですが、前立腺肥大症や前立腺炎などの病気、さらに、長時間、自動車の運転をしたり、自転車に乗ったりなど、局所への刺激が加わっても上昇します。基準値は4(ng/ml)で、この数値を超える場合、一般的に「PSAが高い」と言われます。

 Hさんの数値は7・6でした。4~10の「グレーゾーン」と呼ばれる範囲では、3、4人に1人、この数値が10以上になると2人に1人程度にがんが発見されます。

 実はPSAについては、いろいろ議論が分かれていますが、それは後述することにして、Hさんの話を続けましょう。

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大川智彦(おおかわ・ともひこ)

 佐野メディカルセンター理事。1969年、名古屋市立大医学部卒。放射線腫瘍医として (がん) 研究会病院放射線科などで勤務し、英国留学後、94年、東京女子医大放射線科主任教授に就任。その後、徳洲会病院グループ放射線科部門長、東京西徳洲会病院副院長・検診センター長、佐野メディカルセンター予防医療センター長などを歴任し、2019年より現職。

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