伊藤清世の「あれ?コレ 介護食 plus」
もっと知りたい認知症
とろり焼きバナナ…不思議な力、意欲の回復
こんにちは。在宅訪問管理栄養士の伊藤清世です。
皆さん、黄色い果物といえば、何が頭に浮かびますか? 多くの方が「バナナ」と答えるのではないでしょうか。私はこの「バナナ」が持つ不思議な力を食事場面でいくつか見てきました。
そのひとつが、食べる意欲の回復です。認知機能が低下してしまい、施設で提供される食事に興味を示さなくなった方に、バナナを見せ、手を添えて皮をむいてみたところ、バナナを口元まで運んで食べてくれたことがありました。認知機能が低下した時に、食事を食事として認識できなくなることがあります。特に、施設や病院で提供される食事はその方にとっての「食事」というイメージと一致しないため、食べる気持ちにならないという状態になることも考えられます。しかし、バナナのように昔からある果物で、何度も見たり食べたりした経験があるものだと、記憶と一致し、食べる気持ちになることもあります。さらに、箸やスプーンを使わずに手づかみで食べられることも、いい影響をもたらしたのだと考えられます。
今回はバナナをオーブントースターで真っ黒になるまで焼くだけの簡単レシピです。
そのままでも食べやすいバナナですが、加熱することでまるでジャムのようなやわらかさに変わります。焼きたてをそのまま食べてもよいですし、パンにのせてもおいしく食べられます。また、一度冷やして食べることもおすすめです。
[作り方]
(1) バナナは、へたの部分を落とし、皮ごとアルミホイルにのせ、オーブントースターで片面5~7分くらい皮が真っ黒になるまで焼く。
(2) 箸やトングで皿に移し、上の皮をむいてスプーンなどですくって食べる。好みでココアパウダーやシナモンパウダーをかける。
※かむ力、のみ込む力には個人差があります。食べる機能を確認しましょう。
(レシピ作成 在宅訪問管理栄養士 伊藤清世)
【関連記事】