産業医・夏目誠の「ストレスとの付き合い方」
仕事をしていれば、ストレスはつきもの。それに押しつぶされてしまうと、病気の原因にもなりますが、適度なストレスは人生のスパイス。気持ちに張りができて、仕事にもプラスに働きます。ところが、ストレスがたまっていても自分では気づきにくいこともあります。大切なのは、ストレスに気づいて、上手にコントロールすること。精神科産業医として45年以上のキャリアを持ち、現在もいくつもの企業を担当する夏目誠医師が、これまで経験してきたケースを基に、ストレスへの気づきとさまざまな対処法を紹介します。きっと参考になる事例と出会えるでしょう。
医療・健康・介護のコラム
長く続くコロナ禍でイライラ、口論が増加……知っておきたい「感情の法則」

イラスト 赤田咲子
新型コロナ禍が長期化し、なんとなくイライラして口論する人が増加しているようです。ちょっとしたことで怒りに火がつく。そんな時にどう対応したらよいでしょうか。「怒り(ANGER)」のコントロールは難しいとされています。しかし、「感情の法則」を知れば、対処の役に立つと思います。
社内でささいなことで口論に
33歳の春田太郎さん(仮名)はメーカーの購買部に勤務しています。会社が毎年行うストレスチェックで高ストレスとなり、面談を希望しました。開口一番、「面談を待っていたんです。仕事でなんだか口論が増えて困っています」と訴えます。「コロナが2年も続いて、みんなイライラしているんじゃないでしょうか。仕事でも部品調達が滞る問題が起きていることもありますが」と説明してくれました。
私が「口論ですか。どなることもあるの?」と問いかけると、彼は経理と伝票処理を巡ってトラブルになったと言います。「細かい指摘があるので、ついイラッとして『そんなこと、どうでもよいだろう』とつい強く言ってしまいました。そうしたら、当然経理も怒ります。『我々はそれが仕事ですから』と言われて……『後にしてくれ』『わざわざ出向いてきているんだ。説明しろ』と口論になりました」
彼は「僕も悪いと思うんですが、すぐにイラッとして、言葉が出てしまったんです。ストレスですよね。対処法を、教えてください」と訴えました。
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