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ココロブルーに効く話 小山文彦

医療・健康・介護のコラム

【Track23】「できる人」がぶつかった「昇進ストレス」。すご腕ナースの不眠症と覚悟

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 「昇進」からイメージされるものは、成功や祝福でしょうか。まだ私が子供の頃、昭和の時代には、たとえばテレビドラマでも「春からは課長だよ」と話す男性が、家族みんなから祝われるシーンなどがよくありました。しかし、時代は移ろい、私たちは不況にも見舞われ、どんな業界でも人員不足が常態化した今時の昇進には、責任や兼務などで「大変そうだ」というイメージが強くなりました。昇進する本人も手放しでは喜べないケースも少なくありません。それでも組織の中で、マネジメントを担わざるを得ない管理職の心には、どんな支えが必要でしょうか。

本音と責任感の板挟みストレスで

【Track23】「できる人」がぶつかった「昇進ストレス」。すご腕ナースの不眠症と覚悟

 陽子さん(35)は、5年前から公的団体が運営する病院に勤める看護師です。前任地は都心の急性期病院で、過酷な勤務も救命場面も数多く経験してきました。現在は、外来、往診、訪問看護と幅広い業務をこなし、職場で人望の厚い存在です。そんな陽子さんですから、事務局から力量と真面目な人柄を買われ、来春の管理者への昇進について打診されました。

 ところが、その夜から、陽子さんは不眠がちになってしまいました。前任地の救急現場でも、先輩たちが管理者に昇進し、現場の仕事と管理業務との両立で苦労していた姿が目に浮かびます。先輩たちのようになりたくない思いもあって、職場を変えた陽子さんは、新たに地域医療の現場にチャレンジしてきたという経緯もありました。

 現場の看護力なら自信はあるものの、スタッフのとりまとめや地域での看護部門のかじ取りには、想像しただけで尻込みしてしまう心境でした。しかし、看護師としての経験と、これまで学んできた専門知識や資格から、もうそろそろ管理者としての責務を負うことからも逃れられないことはわかっています。本音と責任感の板挟みによるストレスで、夜はなかなか寝付けず、仕事中の眠気と頭痛に耐えられなくなってきました。

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小山 文彦(こやま・ふみひこ)

 東邦大学医療センター産業精神保健職場復帰支援センター長・教授。広島県出身。1991年、徳島大医学部卒。岡山大病院、独立行政法人労働者健康安全機構などを経て、2016年から現職。著書に「ココロブルーと脳ブルー 知っておきたい科学としてのメンタルヘルス」「精神科医の話の聴き方10のセオリー」などがある。19年にはシンガーソング・ライターとしてアルバム「Young At Heart!」を発表した。

 2021年5月には、新型コロナの時代に伝えたいメッセージを込めた 新曲「リンゴの赤」 をリリースした。

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