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常喜眞理「女のココロとカラダ講座」

 思春期から妊娠・出産、更年期と、変化していく女性の体は様々な健康リスクに見舞われます。そこに、子育てや人間関係のストレスも重なって……。各年代の女性に特有な心身の悩みを乗り切るには、何に気をつければいいのでしょうか。健康診断や会社員のメンタルヘルスにも取り組む開業医、常喜眞理さんが答えます。

妊娠・育児・性の悩み

トイレで真っ赤な尿にドキッ…膀胱がん 喫煙が影響、手術後の再発に注意

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トイレで真っ赤な尿にドキッ…膀胱がん 喫煙が影響、手術後の再発に注意

 50歳代半ばのAさんは真っ赤な尿が出たと驚いて来院された。Aさんはかつて 膀胱(ぼうこう) 炎になったことはあるが、その時のような排尿の違和感や痛みはないという。Aさんのように自分の目でわかる血尿の場合、腎臓結石のほか尿道カルンケルという尿道の良性腫瘍の可能性や原因のわからないケースもあるが、膀胱がんの場合もある。

圧倒的に男性に多いが…

 膀胱がんは男性の方が3~4倍多く、喫煙と関連が強い。Aさんは喫煙歴がまったくなく、泌尿器科の医師に喫煙歴のない女性患者は珍しいと言われたという。多くは現在やめていても喫煙歴があると膀胱がんのリスクは高まる。

 Aさんに血尿が見られたのは一度きりで、来院時の検査ではすでに血尿は見られなかった。症状があるわけではないので、Aさんは泌尿器科受診には、ためらいを感じている様子だったが、受診を勧めて泌尿器専門医に紹介した。

初期なら内視鏡手術も

 泌尿器科専門医で尿の細胞診と膀胱鏡という尿道から膀胱を見る内視鏡検査を受けたところ、初期の膀胱がんが見つかった。幸い早く発見されたため、尿道から内視鏡を入れて粘膜を切除する内視鏡手術で治療を行うことができた。ただ膀胱がんは再発も多く、定期的な経過観察を厳重にしなければならない。再発防止に小さい頃予防接種で受けたBCGというウシ型弱毒結核菌を膀胱内に注入する場合もある。

見てわかる血尿 1回でも放置しないで

 女性は健診で10%程度の人が目に見えないほどの尿潜血を指摘される。その中で治療しなければいけない疾患の方は少なく、一度精密検査で大丈夫と言われた場合、程度に変化がなければあまり心配はいらない。しかし尿の顕微鏡検査で赤血球数が増えている場合は、再度精密検査が必要なことがある。またAさんのように痛みなど症状がなく自分で血尿に気づいた場合は、たった一回でも放置してはいけない。機会のある度に申し上げるのだが、がんの初期にはつらいと感じる自覚症状はないのが普通だ。ちょっとした異変もスルーせず、かかりつけ医に相談してほしい。(常喜眞理 医師)

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常喜 眞理(じょうき・まり)

 家庭医、医学博士
 1963年生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。消化器病学会専門医、消化器内視鏡学会専門医・指導医、内科学会認定医、日本医師会認定産業医。院長を務める常喜医院(内科、皮膚科)での診療のほか、慈恵医大新橋健診センターでは診療医長として健康診断(人間ドック)の内科診察を行い、婦人科や乳腺外科の診断を担当する。様々な大手企業の産業医でもあり、職場におけるメンタルヘルスのサポートを長年行っている。著書に「オトナ女子 あばれるカラダとのつきあい方」(すばる舎)。現在、BS-TBS「Together」に準レギュラー出演中。

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1件 のコメント

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かかりつけ医に血尿が出たと相談したが

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かかりつけ医(内科、循環器内科)に「血尿が出た」と相談したが、潜血の確認程度で、泌尿器科の受診が必要とのアドバイスはなかった。最近、また血尿が出...

かかりつけ医(内科、循環器内科)に「血尿が出た」と相談したが、潜血の確認程度で、泌尿器科の受診が必要とのアドバイスはなかった。最近、また血尿が出たため、病院の泌尿器科を受診したところ、内視鏡検査で膀胱(ぼうこう)がんと告げられ、ショックを受けました。内科医であっても知らないのは知識がなさすぎると思います。医師免許にも更新試験は必要だと思います。医師法も改正してほしいです。

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