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在宅訪問管理栄養士しおじゅんのゆるっと楽しむ健康食生活

医療・健康・介護のコラム

「コロナフレイル」で高齢者が陥りやすい活動量や足の筋力、食事量の減少――。ちょっとした工夫で防ぎましょう

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カップラーメンもちょっと工夫をするだけで

 自粛生活でも必要な食事を取るためにはどうしたらよいのでしょうか。外食に頼り切っていた方の中には、飲食店の休業期間が長期にわたり、自炊をせざるを得なくなった方もいるでしょう。買い物にも頻繁には行けないため、新鮮な野菜を手に入れるのも難しい。そんなとき、活用したいのは冷凍野菜や缶詰などです。

 このたび、料理が苦手な方でもバランスよく食事を取るヒントを詰め込んだ本を出版することになりました。『70歳からは超シンプル調理で「栄養がとれる」食事に変える!』(すばる舎)です。

 この本では、たんぱく源の食品+野菜+主食を合わせることで、完璧でなくても栄養バランスのよい食事を目指すためのノウハウをお示ししました。カップラーメンにゆで卵を添え、一緒にミニトマトを5、6個食べるだけでも、ラーメン単品よりグッと栄養価は良くなります。

「コロナフレイル」で高齢者が陥りやすい活動量や足の筋力、食事量の減少――。ちょっとした工夫で防ぎましょう

 「限られた時間や予算の中で、手抜きをしながらもいかに栄養バランスよく、おいしく食べるかということこそ、『賢く食べる生活の知恵』だと思います。『いかに安い服でおしゃれに見せるか』というのと同じですね」(本文より)

 とはいえ、「低栄養を防ぐために食事をしよう」「健康のために運動をしよう」と思っても、なかなかできないものです。「おいしい炊き込みご飯を炊いてみよう」「少し遠いけど、あの団子屋さんまで歩いていってみよう」といった「モチベーションが上がるきっかけ」が必要です。日々の食事は、「栄養のため」だけではなく「空腹も心も満たす食事」であってほしいものです。

 また、これからの時代は、しっかりと感染対策を行いながら、少しずつ活動を始めていくことが大切です。自治体によっては、地域の高齢者に呼びかけて、地域の小学校で花壇を整えるボランティアなど、屋外での活動を始めているところもあるそうです。土を耕すのは全身を使う作業ですから、活動のあとはきっとおいしくご飯を食べられることでしょう。

 そういえば、私のコラムのテーマがまさに「ゆるっと楽しむ健康食生活」でしたね。まずは食生活を楽しむこと、その延長線上に健康が作られるのが理想的ですね。(在宅訪問管理栄養士 塩野崎淳子)

参考文献

1)Association between frailty and changes in lifestyle and physical or psychological conditions among older adults affected by the coronavirus disease 2019 countermeasures in Japan (Original article)
Geriatr Gerontol Int. 2021 Jan;21(1):39-42. doi: 10.1111/ggi.14092. Epub 2020 Nov 17.
Shinohara T, Saida K, Tanaka S, Murayama A.
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/pdf/10.1111/ggi.14092

「COVID-19 による地域在住高齢者へのフレイル化の関連論文』 日本老年医学会・新型コロナウイルス対策チーム作成
https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/coronavirus/pdf/covid_search.pdf

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塩野崎顔2_100

塩野崎淳子(しおのざき・じゅんこ)

 「訪問栄養サポートセンター仙台(むらた日帰り外科手術WOCクリニック内)」在宅訪問管理栄養士

 1978年、大阪府生まれ。2001年、女子栄養大学栄養学部卒。栄養士・管理栄養士・介護支援専門員。長期療養型病院勤務を経て、2010年、訪問看護ステーションの介護支援専門員(ケアマネジャー)として在宅療養者の支援を行う。現在は在宅訪問管理栄養士として活動。

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