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新・のぶさんのペイシェント・カフェ 鈴木信行

医療・健康・介護のコラム

ギラン・バレー症候群 目覚めたら「全身が耳たぶのように」なっていた

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自分の葬儀の相談をする家族の会話が聞こえ

ギラン・バレー症候群 目覚めたら「全身が耳たぶのように」なっていた

入院中の上田さん(本人提供)

 ギラン・バレー症候群と診断され、応急処置を受けた。肺の機能低下が激しく、人工呼吸器を装着された。

 全身がまひした状態で、手足は全く動かない。耳だけははっきりしていて、周囲の声は聞こえているが、自分の意思を表示することができない。

 医師に命の危険があると告げられた家族が、上田さんの葬儀の相談を始めたのも聞こえきた。だが、何も伝えることができなかった。

 「全身が耳たぶのようになった感じ」

 少しぴくぴく動くかもしれないが、思っているようには動かなくなっている状態を、上田さんは、そう表現した。

 この病気の原因は不明だが、神経の伝達が急にできなくなってしまう自己免疫性の疾患とされる。どの部位でどの程度の神経伝達が阻害されるかによって症状は異なる。

 一般的には発症後、1、2日で急激に悪化する。なかには手や足の末しょう神経が機能しなくなったり、重症だと上田さんのように人工呼吸器が必要になったりすることもある。逆に、ちょっとしびれるぐらいという軽症の人もいる。

 国内で年に10万人当たり1人強が発症するとされる。発症時の年齢は幅広い。感染や遺伝はしない。個人差が大きいことも特徴の一つと言える。

 3分の1ぐらいの方は、日常生活ができるまで回復する。体に障害が残ってしまう方や再発する方もいれば、徐々に治る方もいる。発症後まもなく亡くなってしまう方も5%ぐらいいるという。

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鈴木信行(すずき・のぶゆき)

患医ねっと代表。1969年、神奈川県生まれ。生まれつき二分脊椎の障害があり、20歳で精巣がんを発症、24歳で再発(寛解)。46歳の時には甲状腺がんを発症した。第一製薬(現・第一三共)の研究所に13年間勤務した後、退職。2011年に患医ねっとを設立し、より良い医療の実現を目指して患者と医療者をつなぐ活動に取り組んでいる。著書に「医者・病院・薬局 失敗しない選び方・考え方」(さくら舎)など。


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