がんのサポーティブケア
医療・健康・介護のコラム
薬の専門家として薬物療法をチェック 制吐剤の臨床研究の取り組みも
湊川紘子・聖マリアンナ医科大学病院薬剤部係長に聞く
がん患者の闘病を支えるがんの支持医療について専門家に聞く「がんのサポーティブケア」。第14回は「がん薬物療法における薬剤師の役割」がテーマです。聖マリアンナ医科大学病院(川崎市)薬剤部係長として腫瘍センターでの通院抗がん剤治療に携わりつつ、制吐(せいと)療法についての多施設臨床研究などにも取り組んでいる湊川紘子さんに聞きました。(聞き手・田村良彦)
抗がん剤の調製、患者への直接指導が二本柱
――まず、湊川さんの普段のお仕事について教えてください。
通院抗がん剤治療を行っている腫瘍センター専従の薬剤師として、がん治療に特化した業務に就いています。私を含め10人ほどの薬剤師が、抗がん剤を調製したり、投与前のチェックをしたりする仕事と、患者さんに対して直接指導をする仕事の、大きく二つの業務を担っています。新規のレジメンをチェックして、電子カルテに組み入れる作業なども担当しています。
――1日に何人ぐらいの患者さんを担当するのですか。
うちの病院で通院の抗がん剤治療を受ける患者さんは1日60人ほどいらっしゃいます。指導は初回治療や2回目の患者さんを中心に、1日20人前後に抗がん剤や副作用対策の説明、副作用のモニタリングを行っています。
専門や認定の資格を持つ薬剤師と若手がペアを組み、曜日を固定して担当しています。患者さんが点滴治療を受けている時間を利用してお話しすることが多いです。
このほか、経口の抗がん剤治療を受けている患者さんに対しては、治療開始時や定期通院時の診察前に面談をしています。
――院外の薬局との連携はいかがですか。
2020年の診療報酬改定で、質の高い外来がん化学療法を評価する「連携充実加算」が新設されました。年1回以上、病院が研修会を開催することなどの算定要件があります。
私たちの病院では2010年から、地域の薬剤師会を通じて薬局向けの研修会を開いてきました。一方通行の情報提供ではなく、地域の薬局の薬剤師と顔の見える関係が築けて、ざっくばらんに話ができる場になればとの思いがあります。最近はコロナ禍のせいでオンライン開催ですが、診療報酬の要件化に伴って経口薬だけでなく、点滴の抗がん剤も取り上げています。
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