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教えて!ヨミドック

医療・健康・介護のニュース・解説

赤ちゃんにハチミツを絶対に与えてはいけない理由

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  子どもが離乳食を始めたよ。

 ヨミドック くれぐれも、ハチミツは与えないでくださいね。まれにボツリヌス菌という細菌が含まれていることがあり、「乳児ボツリヌス症」という感染症にかかる可能性がありますよ。

  もし、かかったらどんな症状が出るの?

  乳児のまだ発達していない腸内で、繁殖した菌が強い毒素を作り、便秘、乳を飲む力の低下、脱力、泣き声が小さくなるなどの症状を引き起こします。国立感染症研究所によると、国内では1986~2020年に計42例が報告されています。このうち17年には、東京都の生後6か月の男児の死亡例がありました。栄養を補おうと、ハチミツを混ぜたジュースを与えていたそうです。

  怖いね。でも、加熱して調理すれば、ハチミツを使っても大丈夫でしょう?

  ボツリヌス菌は熱に強く、死滅させるには120度で4分以上加熱する必要があります。一般的な加熱調理の程度では殺菌できないので、乳児に与える食事には絶対使ってはいけません。

 蒸しパンやクッキーなど、乳児が口にしやすい市販の加工食品にハチミツが入っている場合があるので、成分表示をしっかり確認しましょう。

  知らなかった。ボツリヌス菌は、ハチミツ以外にも含まれるの?

  この菌は、土壌や河川など、自然界に広く存在します。乳児ボツリヌス症との因果関係が明らかになっている食材はハチミツのみですが、自家製の野菜スープ、井戸水などが原因と疑われるケースもあります。乳児に与える食材は、よく水洗いすることが大事です。

  ハチミツは、いつごろから与えてもいいの?

  腸内環境が整ってからなら、ハチミツはリスクの高い食材ではありません。食べ始めても大丈夫な目安は1歳です。体調やお なか の調子など、様子を見ながら与えるとよいですよ。

  誤って乳児にハチミツ入りの食材を与えてしまったときは、どうすればいい?

  慌てずに、他の病気と同様に乳児の様子を見て、受診するかどうか見極めましょう。首が据わらなくなる、まぶたが垂れ下がる、元気がなくなるなど、乳児ボツリヌス症特有の症状が表れれば、すぐに受診させてください。

(井美奈子/取材協力=丹羽光一・東京農業大教授、国立感染症研究所細菌第二部)

 ヨミドックは読売新聞の医療サイト、ヨミドクターのお医者さんキャラクターです。

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