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子どもの健康を考える「子なび」

医療・健康・介護のコラム

おなかのトラブル(6)「2日に1回以上」が大切…幼児の便秘、根気よく治療を

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  このシリーズでは、大阪母子医療センターの恵谷ゆり消化器・内分泌科主任部長に聞きます。(聞き手・石川千佳)

 今回は、便秘の治療についてです。乳児は綿棒を使った 浣腸かんちょう をまず試してください。大人用の綿棒の先を少しほぐしてからベビーオイルなどをつけて、肛門を少し広げるように回すと効果的です。「マルツエキス」と呼ばれる飲み薬の下剤を使うこともあります。即効性はありませんが、自然な排便を促します。

 幼児期以降も便秘が続くと下腹部が張って、硬い便がおなかの上から触れるようになります。レントゲンや超音波検査で直腸や大腸に便の塊が確認されたら取り除く治療が必要です。

 数日続けて浣腸をすることもありますが、多量の塊の場合は当科では肛門から造影剤を入れる検査を行います。たまっている便の量を調べると同時に、造影剤によって便が溶けて軟らかくなり、容易に便が出ます。

 治療後は、便を軟らかくして出やすくする飲み薬を医師と相談のうえ、加減しながら続けてください。基本的に2日に1回以上便を出すことが大切で、2日目になっても出なければ浣腸でリセットします。過去に浣腸で硬便を出したために浣腸を怖がっている子どもには、局所麻酔効果のあるゼリーを肛門や浣腸に塗ると可能になることがあります。

 「下剤や浣腸はクセになる」と思って治療を控えていると、「便がたまって硬くなる」「痛い思いをして排便が怖くなる」「便を我慢する」――という悪循環が続いて便秘は治りません。積極的に治療を続けると便がたまりやすくなっていた腸が元に戻って動きが改善し、便意も感じるようになります。排便への恐怖を克服するには何年もかかることがあるので、根気よく治療を続けることが重要です。

恵谷ゆり 日本小児科学会専門医、日本肝臓学会肝臓専門医

【略歴】
 恵谷ゆり(えたに・ゆり) 日本小児科学会専門医、日本肝臓学会肝臓専門医。大阪市立大卒。大阪府立急性期・総合医療センター(現大阪急性期・総合医療センター)小児科、大阪母子医療センター消化器・内分泌科に勤務し、2017年から現職。

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