介護のキホン
医療・健康・介護のコラム
在宅介護の費用ってどのくらいかかるの?
在宅介護では、訪問介護やデイサービスなどの予定を組んで利用するのが一般的ですが、その人の状態や受けるサービス、生活のあり方などで、介護費用は異なります。
一つの目安になるのが、介護保険の「区分支給限度額」です。表のように要介護度に応じて定められていて、この範囲内のサービス利用なら、利用者は料金の原則1割の負担で済む、という意味です。
この限度額は過剰なサービス利用を抑えるためにあります。ただ、半分程度のサービス利用で済む人もいますし、逆に、この金額では収まらない人もいます。限度額を超えた分は全額が自己負担です。
東京海上日動ベターライフサービスで産業ケアマネジャーを務める泉洋枝さんに、具体例を示してもらいました。
認知症で要介護2の人が週4回デイサービスに通い、デイサービスのない日のお昼と朝晩は家族が様子を見ているとします。おおまかな試算では、1か月の介護保険サービスの料金は17万円で、要介護2の限度額を超えません。1割負担で利用した場合、月の費用は1万7000円です。
在宅介護では、家族がどのくらいかかわれるかで費用が変わることがあります。
先ほどのケースで、朝晩の家族の様子見の代わりに、短時間の訪問介護を利用した場合を考えます。1か月のサービス料金は16万5000円増え、33万5000円。限度額を超えた約13万8000円が全額自己負担となります。1か月の費用は1割負担分と合わせて、約16万円になります。
泉さんは「認知症で手厚いケアが必要な場合や独居のケースで、費用が大きくなる場合があります」と説明します。
介護保険サービス利用時の自己負担以外の費用もあります。例えば、デイサービスの食事やおやつ代。手すりをつけるなど住宅改修にかかる一時的な費用などもあります。
生命保険文化センターの2021年度の「生命保険に関する全国実態調査」では月々の介護費用の支払額(施設利用者も含む)は平均8・3万円で、一時費用は同74万円でした。介護の費用も期間も人それぞれで、あくまで目安ですが、平均的な介護期間(5年1か月)で計算すると総額600万円近くになります。
泉さんは、子どもが親の介護にかかわる場合でも、費用は親の年金や保険でまかなうことが基本だと助言します。「金銭的な備えがしっかりしていれば、介護者の精神的、身体的な負担が軽くなることもあります」と話しています。
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