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「検査キット足りない」薬局の商品棚、どこも空っぽ…県の自主療養制度に黄信号

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 新型コロナウイルス感染拡大が続くなか、神奈川県内でも抗原検査キットの不足が深刻化している。自治体から医療機関などへの特別配布も納期が大幅にずれ込み、薬局の商品棚はどこも空っぽ。県は検査キットなどの活用を前提に無料検査事業や自主療養制度を打ち出してきたが、せっかくの施策にも影響が出ている。

■募集一時停止

「検査キット足りない」薬局の商品棚、どこも空っぽ…県の自主療養制度に黄信号

「抗原検査キット品切れ中」のはり紙を出している薬局(3日、横浜市中区で)

 県医療危機対策本部室によると、1月中旬あたりから、無料検査を請け負う登録事業者が「受け付けを停止したい」と申し出るケースが相次いでいる。感染に不安を感じている県民に、PCR検査や抗原検査を無料で実施する事業だが、肝心のキットが事業者の手元にないためだ。

 1月27日には、キットや検査用の試薬を医療機関に優先供給するためとして、国から「検査回数を抑制するように」と要請があり、県は翌28日に登録事業者の募集を一時停止した。

 県は、検査キットの確保がここまで困難ではなかった昨年、小学校や保育所を通じて子供がいる家庭に検査キットを配布した。その問い合わせ窓口には1月1~28日、前月の4・6倍にあたる685件の問い合わせが殺到。「どうすれば手に入るのか」「再び配布してくれないのか」などの内容が目立った。

「備蓄したいが、できない」45・7%

 県が1月下旬にスタートさせた「自主療養届出システム」にも黄色信号がともる。自己検査で陽性と判明した軽症・無症状の人(基礎疾患がある場合などを除く)がオンラインで届け出ることで、医療機関の診断を受けずに自宅療養を選択できる仕組みだが、検査キットがあることが前提。保健所や医療機関の負担を軽くし、重症化リスクのある患者への対応に集中するための施策だが、機能しなくなる恐れが生じている。

 県が今月1~3日、無料通信アプリ「 LINEライン 」を通じて実施した自主療養に関する県民アンケート(回答3万829件)では、検査キットについて「備蓄したいが、できない」との回答が45・7%に上った。

■納期3週間に

 横浜市も1月16日、社会機能の維持に欠かせない「エッセンシャルワーカー」への検査キット配布を決定し、7万個を医療機関や保育所などに配布してきた。追加のためにメーカーに発注したところ、当初は1週間ほどだった納入までの期間が、下旬には3週間程度と大幅に長くなったという。山中竹春市長は今月4日、追加確保の見通しが立ったとして、60万個を14日以降に医療機関や保育所職員らに配布すると発表した。

「手に入れるのは至難の業」

 抗原検査キット不足への懸念は、薬局やドラッグストアにも広がっている。

 横浜市中区の田辺薬局山下公園店の薬局長(37)は「先月上旬から全く入ってこない」と明かす。無料検査の実施事業者として県に登録しているが、約40個あったキットは1月8日になくなった。客の問い合わせが相次いでいるといい、「在庫さえあればすぐに対応したいが」と表情を曇らせる。

 中区の加藤回陽堂薬局伊勢佐木町本店も同じ状況だ。管理薬剤師の男性(43)は「マスクが市場から消えたときのような混乱が起きるのでは」と心配する。

 ドラッグストアに勤務する医薬品の登録販売者の女性(46)も「入荷した途端に家族や会社の分まで買う人が多く、すぐになくなる。手に入れるのは至難の業」と、あきらめ顔で話した。

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