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場の空気読むのが不得手な類さん、母が一緒にDVD観て「どんな気持ち表してる?」…俳優の夢へトレーニング

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俳優・栗原類さんを育てた栗原泉さん 52<下>

 

 端正なルックスと独特の感性で多くのファンを魅了するモデルで俳優の栗原類さん(27)。中学入学直後、上級生の嫌がらせにより不登校となったが、2週間後、母・泉さん(52)が転校手続きを始めたことに驚いた。

子どもの頃の思い出について話す泉さん(左)と類さん(東京都港区で)=高橋美帆撮影

 「言ったことは必ず実行する私の性格を類もわかっていたので、『ちょっと待って。転校はしないから』と、慌ててまた通い始めました。それからは『行きたくない』と口にすることはなくなりましたね」

 中学2年になると、モデルの仕事が本格化。「メンズノンノ」や「ポパイ」といった著名なメンズファッション誌にも登場するようになっていった。

 だが、一人で仕事の現場に行くのも一苦労。駅名やホームの表示がなかなか覚えられず、携帯電話のGPS機能で類さんの現在地を見ながら、泉さんが電話をかけて誘導することもたびたびあった。

 考えていることや喜怒哀楽が表に出にくい面もあったため、自分の気持ちが周囲に伝わるようにアドバイスを繰り返した。

 「うれしいことがあったら、まず相手に言葉で感謝の気持ちを伝えること。自分がうれしかったことは、他の誰かにしてあげられるよう努力しなさいとも」

 18歳までは、睡眠時間を確保し、遅刻をなくすためにも、午後9時就寝という生活を貫いた。見たいテレビ番組は全て録画し、ゲームは学校に行くまでの朝の時間だけと決めた。

 数々の映画やコメディー番組から刺激を受けるうち、「俳優になりたい」と夢を語るようになった類さん。表情の変化が乏しく、文章を記憶するのも苦手な息子が、台本を立体的に表現していく困難さを認識しつつも、泉さんは応援しようと心に決めた。

 「向いているかどうかではなく、楽しくてやめたいと思わないこと、前を向いて頑張れそうなことにチャレンジしていくのが一番ですから」

 場の空気を読んで状況を察するのが不得手な類さんのため、一緒にDVDを見ながら登場人物の動きや表情に目を凝らした。気になる場面で一時停止ボタンを押しては「どんな気持ちを表してる?」と考えさせるトレーニングに何度も取り組んだ。

憧れのパリコレクション出演の夢をかなえた19歳の類さん(パリで)=泉さん提供

 17歳で出演したバラエティー番組でブレイク。ポーカーフェースで謙虚なたたずまいから「ネガティブすぎるイケメンモデル」としてお茶の間をにぎわせ、19歳の夏には、念願だったパリコレクションのモデルデビューも果たした。

 ゲスト出演した情報番組で、発達障害であることを類さんが公表したのは2015年5月。反響は大きく、たくさんのメールやメッセージが寄せられた。その多くが発達障害に悩む当事者とその保護者からだった。

 「それぞれの立場で大変な思いをしている人たちがこんなにもいたんだと、私自身も改めて気づかされました」

 自らの経験が少しでも役に立つならと、泉さんは講演会などでマイクを握り、発達障害といかに向き合い、折り合いをつけてきたかを つづ った手記『ブレない子育て』(KADOKAWA)も18年に出版した。

 「思えば、胃が痛くなるような難題続きでしたが、常に我が子にとってベストな選択をしているという自負と信念だけは持ち続けてきました」

 昨秋は、日米で公開されたニコラス・ケイジ主演の映画『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』にも出演し、〈ハリウッド進出〉という大きな一歩をしるすことができた。1月スタートのテレビ東京系ドラマ25『鉄オタ道子、2万キロ』では主要な役どころで登場するなど、今年も幅広いジャンルでの活躍が続く。

 「子どもの頃から夢見ていた職業に巡り合えた幸運を忘れることなく、これからも向上心と探究心を持って俳優業に一生をかけて取り組んでいってほしいと願っています」

(渋谷聖都子が担当しました)

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