Dr.イワケンの「感染症のリアル」
医療・健康・介護のコラム
「南アでピークアウトしたから日本でも」は本当か?
外的妥当性について考えてみよう
南アフリカのオミクロンが早期に収束したから、日本のオミクロンも早期に収束するだろう。そういう意見をあちこちで耳にします。そうなればよいとは思いますが、そうなるとは限らないのが、難しいところです。
これはつまり、「他人に起きることは、自分に起きるとは限らない」という話です。専門的に難しく言えば、「外的妥当性(がいてきだとうせい)」ということです。
外的妥当性とはどういうことか。
例えば、ある人のある病気にAという薬を使いました。患者さんがよくなりました。別の患者さんが同じ病気でやってきました。はたしてAという薬は効くでしょうか。
このとき、この患者さんにもAという薬が効くのであれば、外的妥当性はあり、ということになります。しかし、前の患者さんでは効いたのに、次の患者さんでは効かなかった場合は、これは外的妥当性がなかった、ということになります。
厳密に言えば、ぼくらはみんな、別々の人で、一人として「まったく同じ」な人物はいません。たとえ一卵性双生児であったとしても、生まれた後の生活はまるで同じ、ではありませんから、この双生児の二人も「別の人」です。よって、「あの人に起きたことがこの人に起きる」、100%の保証はどこにもありません。
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