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週4時間の運動でパーキンソン病進行を抑制

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 早期のパーキンソン病(PD)者における運動の長期的効果が示された。京都大学大学院臨床神経学の月田和人氏らは、国際多施設共同観察研究Parkinson’s Progression Markers Initiative(PPMI)のデータを用いて日常的な身体活動や運動習慣とPDの進行との関係を検討した結果をNeurology( 2022年1月13日オンライン版 )に発表。「家事やウォーキング、ダンスなど中等度の運動を少なくとも週4時間行うことで5年後の歩行・姿勢の安定の低下が抑制できる。PDの進行を抑制するには、運動を継続することが重要であり、運動を開始するのに遅過ぎることはない」と述べている。

237例を最長6年間追跡

週4時間の運動でパーキンソン病進行を抑制

(C)Adobe Stock ※画像はイメージです

 PD患者における日常的な身体活動や運動習慣は短期的な症状改善に重要と考えられているが、数年以上にわたる長期的効果は不明だった。今回、月田氏らは日常的な身体活動や運動習慣が長期的にPDの進行に及ぼす影響を検討した。

 対象は、11カ国33施設が参加する国際多施設共同観察研究PPMIに登録された早期PD患者。余暇、家事、労働に関連した活動を含む日常的な身体活動量はPhysical Activity Scale for the Elderly(PASE)を、運動機能はMovement Disorder Society Unified Parkinson’s Disease Rating Scale(MDS-UPDRS)を、歩行・姿勢の安定性はMDS-UPDRSのPostural Instability/Gait Disturbance (PIGD)を、日常生活動作(ADL)はModified Schwab and England Activity of Daily Living scale(MSE-ADL)を、処理速度はSymbol Digit Modalities Test(SDMT)を用いて評価した。

 解析対象は237例(平均年齢63歳、男性69.2%、平均罹病期間3.0年)で、追跡期間中央値は5.0年(四分位範囲4.0~6.0年)だった。

 多変量線形混合モデルを用いて交絡因子を調整した解析では、研究開始時の身体活動量とPDの進行との関連は認められなかった。

 しかし、追跡期間中の身体活動量とPDの進行との関連を解析すると、平均的な運動の継続が歩行・姿勢の安定性低下の抑制(交互作用における固定効果の標準化係数βinteraction=-0.10、95%CI -0.14~-0.06)、ADL低下の抑制(同0.08、0.04 ~0.12)、処理能力低下の抑制(同0.05 、0.03 ~0.08)と有意に関連していた。

 中等度以上の身体活動量は歩行・姿勢の安定性低下の抑制と有意に関連していた(βinteraction=-0.09、95% CI-0.13~-0.05)。また、労働に関連した活動量は処理能力低下の抑制と有意に関連していた(同0.07、0.04 ~0.09)。

労働関連活動が週15.5時間で処理速度低下を抑制

 傾向スコアマッチング法により日常的な身体活動量以外の背景因子を調整した多変量線形混合モデルを用いて解析すると、日常的な身体活動量が平均(PASE 175.0)より低い群に比べ高い群では歩行・姿勢安定性の低下(βinteraction=-0.10 、95%CI-0.20~-0.02)およびADLの低下(同0.15、0.06~0.24)が有意に抑制された。

 中等度以上の身体活動量以外の背景因子を調整した同様の解析では、中等度以上の身体活動量が中央値(PASE 0.33、中等度の運動を1~2時間、週2回に相当)より低い群に比べ高い群で歩行・姿勢安定性の低下が有意に抑制された(PIGDサブスコアβinteraction=-0.10 、95% CI-0.18~-0.02、 図-左 )。

図.中等度以上の運動量別に見た歩行・姿勢の安定性低下の推移(左)、労働に関連した活動量別に見た処理速度低下の推移(中央)、家事に関連した活動量別に見たADL低下の推移(右)

週4時間の運動でパーキンソン病進行を抑制

実線は回帰直線を示し、背景の灰色の範囲は95%CIを示す

(Neurology 2022年1月13日オンライン版)

 さらに、家事に関連した活動量以外の背景因子を調整し同様に解析すると、家事に関連した活動量が中央値(PASE 3.88)より低い群に比べ高い群でADLの低下が有意に抑制された(MSE-ADLサブスコアβinteraction=0.12、95%CI 0.03~0.20、図-中央)。

 また労働に関連した活動量以外の背景因子を調整した解析では、労働に関連した活動量が75%パーセンタイル値(PASE 32.5、歩行などの身体活動を伴う賃金労働またはボランティア活動15.5時間に相当)より低い群に比べ高い群で処理速度の低下が有意に抑制された(SDMTサブスコアβinteraction=0.10、95%CI 0.01~0.19、 図-右 )。

 以上を踏まえ、月田氏は「日常的な身体活動量と運動習慣を維持することは、長期的なPD症状の経過改善と関連する可能性が示された。また、1~2時間程度の中等度以上の運動習慣を週に1~2回継続することは、主に歩行・姿勢の安定性低下の抑制と、1日に2~3時間程度の労働に関連した活動の継続は主に処理速度低下の抑制と、家事に関連した活動の継続は主にADL低下の抑制との有意な関連が認められた」と結論。「PDの一部の症状は薬剤で軽減できるが、疾患の進行を抑制するものは存在しない。われわれは家事やウォーキング、ダンスなど中等度の運動といった通常の身体活動により、長期間にわたりPDの進行を抑制できる可能性を示した。PDの進行を抑制するには、もともと運動をしていたかどうかよりも運動を継続することが重要であり、運動を開始するのに遅過ぎることはない」と付言している。(大江 円)

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