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医療・健康・介護のコラム

『DVにさらされる子どもたち 新訳版』 ランディ・バンクロフト他著、幾島幸子訳

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『DVにさらされる子どもたち 新訳版』 ランディ・バンクロフト他著、幾島幸子訳

 副題に「親としての加害者が家族機能に及ぼす影響」とあるように、ドメスティック・バイオレンス(DV)の加害者の問題を起点に、子どもたちに及ぼす身体的、心理的リスクやトラウマ、その後の人生に与える影響について明らかにする。

 筆者は、米国でDV加害者へのカウンセリングを2000件以上経験しているコンサルタントのランディ・バンクロフト氏と、ハーバード大学公衆衛生学部助教授(執筆当時)で発達心理学者のジェイ・G・シルバーマン氏。筆者らは豊富なカウンセリング経験をもとに、加害者には「支配」「特権意識」「優越感」「独占欲」……といった傾向があり、子どもとのかかわりの中では「ネグレクト」「母親の権威をおとしめる」「心理操作」「他人に見られているときの演技」といった特徴的な行動を示すことを詳述。「一度できあがった力学」は加害者と別居しても消えず、「人間関係のパターン」として、子どもたちに存続しがちだとしている。

 また、加害者に回復の支援をする際には、本人が「あんなことは卒業した」と言ったり、被害者が「まるで別人のようだ」と報告したりしても、変化の評価は慎重に行うべきだとし、「行った身体的・心理的虐待をすべて告白する」など、踏むべき「12のステップ」を提示。被害者、加害者ともに、長期にわたる支援の必要性について提言している。

 (金剛出版 3080円)

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