田村専門委員の「まるごと医療」
医療・健康・介護のコラム
原発不明がんに初の治療薬 ニボルマブ(オプジーボ)を承認
予後不良群・化学療法既治療例への奏効率22%
今回のニボルマブの臨床試験は、原発不明がんのうち予後不良とされる患者を対象に実施された。抗がん剤治療を既に受けている患者(化学療法既治療例)45人と、抗がん剤治療をまだ受けていない患者(化学療法未治療例)11人の計56人に対し、2週間ごとに点滴静注(240ミリ・グラム)を行った。
その結果、主要評価項目である化学療法既治療例での奏効率(CR、PR)は、45人中10人の22・2%(95%信頼区間11・2~37・1%)で、信頼区間の下限があらかじめ閾値(いきち)と定めた5%を上回った。
既治療例での奏効期間の中央値は12・4か月、無増悪生存期間(PFS)の中央値は4・0か月、全生存期間(OS)の中央値は15・9か月だった。
化学療法未治療例11人では、CR、PR各1人で、奏効率は18・2%だった。
副作用は56人中35人(62・5%)にみられ、うち重症のグレード3、4は11人(19・6%)だった。
中川教授はニボルマブが原発不明がんに対する治療薬として承認されたことについて、原発不明がんが薬剤承認の対象疾患として認められたこと自体にまず、意味があるとし、原発不明がんが治療の研究開発の対象となったという点において極めて意義が大きいと強調した。(田村良彦 読売新聞専門委員)
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